こんにちは、海ノ向こうコーヒーの山藤です。
2026年3月、グアテマラへ渡航してきました。多くのロースターが一度は扱ったことがあるであろう人気産地。今回はその中でも、コバンの渡航記をお届けします。

グアテマラ コバンのオーロラ農園。
2022年以来、パートナーとしてコーヒーを届けてくれている彼らのもとを、今回初めて訪れました。
この農園を運営するのは、アルドさん、ルシアさんご夫婦。マーケティングや輸出関連の仕事はルシアさんの姉妹が担い、まさに家族総出といった形で、彼らのコーヒーを日本へ届けてくれています。

首都のグアテマラシティから4時間ほど、山道を上り下りしながらオーロラ農園へ移動します。中米の産地への訪問が初めての私にとっては、車窓に流れる景色すべてが新鮮そのもの。山や木々の様子は、高地だからなのか、どこか乾いたような印象があり、これまで訪れてきたアジアの産地とはまったく景色が異なります。道中では、山を掘削しているところがちらほら。グアテマラは、ヒスイの産地でもあり、その採掘をする業者が多く存在するそう。山が大きく削られている光景に少し胸を痛めつつ、この国の産業の一つを知りました。

グアテマラのコーヒー産業は、スペイン統治時代の18世紀からはじまり、19世紀中ごろ、当時の大統領の令を受けて生産量が拡大しました。そのころに、ドイツ人宣教師によってコーヒー生産が持ち込まれた地域のひとつが、今回紹介するコバンの地です。
山道とはいいつつ舗装されていたので、車酔いすることはなく無事に農園に到着。
彼らが持つ150ヘクタールほどの土地のうち、コーヒーが植えられているのは22ヘクタールほど。というのも、この土地は、ただ農地としてあるだけでなく、自然保護区として管理されており、山々に住む動物たちを守る役割を担っているのです。

山の斜面にはシェードツリーになるインガというマメ科の木が、谷底のように低くなったところにはコーヒーが植えられている農園のデザイン。等間隔に並ぶコーヒーは列ごとに管理されていて、実をつけるようになった木は、3年に1回のサイクルでカットバックをすることで、木の若返りと収量の維持をはかっています。カトゥーラ、カティモール、ゲイシャ、マラゴジッペなど、さまざまな品種にチャレンジしており、品種ごとに区画分けをしています。
ここで雇っているピッカーさん(チェリーを収穫する人)は15~20人ほど。オーロラ農園で働く価値を見出してもらうために、周辺のピッカー雇用よりも10%ほど上乗せした給料にしているそうです。
農地を見学して回っていると、ちょうどピッカーさんたちが収穫の最中。ビニール袋で腰にかごを巻き付けて固定し、赤いチェリーをどんどん摘んでいきます。1日に、一人で100kg近く収穫するのだとか。

広く、美しく、整備された、まさに「農園」という言葉がぴったりの場所。東ティモールやタイで見てきた、庭先でコーヒーを育てている光景と重ねると、同じ作物なのだろうか、と思ってしまうほど違います。国を挙げて、コーヒー産業に技術やノウハウが投じられてきたその歴史が映し出されているように感じました。
そうした歴史は、オーロラ農園が敷地内で運営するカフェでも感じることができます。19世紀後半、ドイツ人がこの農園を立ち上げたころに使用されていたウェットミルを改築したもので、中には当時のドライヤーやハラー、選別機などが展示されています。農園を見て、歴史ある加工機械を見て、コーヒーを飲む。なんとも贅沢な、コーヒー三昧のひとときです。

昔のミルをあとにし、現役で稼働している加工場へ。視界に飛び込んできたのは、これまた初めてお目にかかる、ステンレス製のウェットミルの機械。きれいに清掃しやすいよう、フローター選別をするホッパーから、パルパー、ミューシレージ除去、タンクもすべて、ステンレス製に揃えているそうです。発酵の過程では毎日phを計測し、適切な数値になったタイミングで、ウォッシュの工程に進みます。

水洗が終わったら乾燥工程。まずは乾燥機にいれて脱水をします。パーチメントをためた大きなタンクの下に熱風が通るドライヤーをつかい、表面を乾燥させます。続いては乾燥場へ。乾燥機のある場所と乾燥場の建物は、ちいさな滑り台のようなスロープでつながっていて、ここにパーチメントを入れた袋を流して豆を移動させているようです。「これで下におりるぞ!」とアルドさん。豆でなく私が滑り台を下りることに。アルドさんは階段をつかって先回りし、嬉しそうに下でカメラを構えて待っていてくれました。
無事に乾燥場に降り立つと、目の前には5~6段ある乾燥棚がずらり。干されているパーチメントやチェリーは、水分値の様子を見ながら段を入れ替え、乾燥具合をコントロールしているといいます。乾燥が早すぎると抜けたような香味になり、時間がかかりすぎると腐敗のリスクが高まる、そんな味わいや品質保持の面で大きなカギを握る乾燥の工程を、非常に丁寧に行っている様子を見ることができました。

中身はハニープロセスのコーヒー

オーロラ農園は、小さめですがドライミルも完備しています。ピニャレンセの機械でパーチメントを脱穀し、サイズ選別と比重選別、最後にはハンドピックも行っています。
ほかにも、精製の工程で除去されたミューシレージや果皮は発酵させてたい肥化したり、精製につかう水を浄化するタンクを完備していたり、コーヒーづくりの中で発生する廃棄物を再利用する仕組みが整っていることも印象的でした。


「自分たちの農地は広げない。ほかの農家さんから買い付ける量をもっと増やして、生産量を増やしていきたい」と話すアルドさん。周辺の生産者との付き合いやコミュニケーションをとても大事にされています。オーロラ農園にコーヒーを販売している生産者さんたちが集まった日には、ルシアさんが丁寧にヒアリングをして、生産状況や困りごとを確認したり、オーロラの品質管理担当者が乾燥工程のアドバイスをするシーンが見られました。

私たちがグアテマラから毎年多様なラインナップを買い付けられるのは、生産者さんとの間を橋渡ししてくれるオーロラ農園があってこそ。サプライチェーンをつないでくれるプレーヤーがいてこそなのだと痛感します。
農家さんのため、地域のため、ロースターのため、コーヒーを飲む人々のために挑戦を続けるオーロラ農園。見た目や味の良さだけでなく、その情熱あふれる取り組みそのものが、 彼らのコーヒーの価値です。そんな魅力を分かち合い、コーヒーの楽しみ方を一層豊かにしていけるよう、頑張らねば! と想いを強くした渡航でした。

オーロラ スタジオ プロジェクト
プロジェクトロット6種類をご紹介!
