【静岡のお茶を世界へ】ChaChaCha茶園・石井宏和さんの挑戦

日本三大茶産地としても知られる静岡。鎌倉時代に静岡出身の僧侶が中国からお茶の種を持ち帰ったことがきっかけとなり、温暖で雨の多い気候に恵まれた静岡は、現在も全国トップクラスのお茶の生産地となっています。そんな静岡で、長く続く茶農家の家業を継ぎながら、さまざまな経験から培ったグローバルな視点でお茶の魅力をより多くの人に伝えようと奮闘する経営者がいます。

継続が困難になった茶畑を受け継ぐ活動をはじめ、イベント開催や全国の店舗との連携を通じて、お茶をもっと身近な存在にしたいと活動する、ChaChaCha茶園の代表・石井宏和さんをご紹介します。

グローバルなキャリアから家業への決断

静岡県で三代にわたって続く茶農家に生まれた石井宏和さんは、一度は家業を離れ、大手企業にて国内外のビジネスに従事していました。アジアやヨーロッパの海外勤務を経て、MBA(経営学修士)を取得しグローバルな視点を培ってきた石井さん。

そんな彼が家業へ戻ることを決意したのは、担い手不足や産地衰退といった静岡の茶業が直面する深刻な問題が理由でした。後継者が見つからないまま手放された茶畑が、耕作放棄地へと姿を変え、そうした光景が静岡各地で増え続けていたのです。「このままではお茶の未来が失われてしまう」という強い危機感を抱いた石井さんは、家業である茶業への本格参入を決めました。

ターニングポイントとなったのは、MBA留学前の坂ノ途中でのインターン経験でした。有機農業に取り組む小規模農家を支える坂ノ途中の活動に以前から興味をもっていたという石井さんは、社長に直談判し、2週間の短期インターンに参加します。野菜の集荷から配送、パッキングまで生産者の現実に深く触れながら、海外展開の可能性についても考えるきっかけとなった坂ノ途中での現場経験は、石井さんが今も大切にしている「生産者としてどう価値を届けるか」という視点につながっています。

ChaChaCha茶園が目指す、お茶の新しい価値

MBA修了後、石井さんは自ら会社を設立し、新しいお茶農家としての一歩を踏み出しました。2024年4月には、父・石井敬明さんとともに株式会社ChaChaChaを設立。三代目として受け継いだ伝統を礎としながら、これまで培ったビジネス戦略とブランド思考を融合させ、静岡のお茶に新たな価値を創造する活動に取り組んでいます。

ChaChaCha茶園では、高級なイメージのあるお茶を、もっと身近に楽しいものとして感じてもらうため、美味しいお茶を味わうのはもちろん、お茶の栽培や茶摘みを体験し、静岡の景色に癒され、お茶の文化に触れる。そんな体験をまるごとお届けしています。

お茶作りの領域も、抹茶に加えて、和紅茶、ほうじ茶、深蒸し煎茶へと広げ、顧客のニーズや業態に応じた豊富なラインナップを取り揃えています。

石井さんが目指すのは「お茶=飲み物」という従来の概念を超え、「お茶と過ごす時間」そのものに価値を生み出すこと。お茶を頭ではなく、心で楽しんでほしいという想いから、茶葉の生産と販売にとどまらず、富士山に望む茶畑での農業体験や、舞台芸術公園での茶摘み体験など、さまざまなイベントを企画・開催し、お茶の魅力や楽しさ、お茶のある暮らしを国内外へ力強く発信しています。

今後も、世界的に高まる日本茶への関心と静岡という産地の可能性をつなぎ、持続可能な茶業として次世代へ引き継ぐ持続可能な茶業を実現する石井さんの挑戦は続きます。

次回は、ChaChaCha茶園の具体的な活動とお茶作りのこだわり、そしておすすめの活用方法についてご紹介します。

Cha Cha Chaの抹茶

やわらかな茶葉の香りと、甘味が広がる豊かな余韻。