■ 伝統的に、コーヒーを飲む文化が根付いてる。
こんにちは。産地担当の安田です。
フィリピンルソン島北部ベンゲット地域の農家さんのお家におじゃましてきました。
どのお家に行っても、まずはコーヒーでも一杯、とすすめてくださいます。
客人のためにわざわざ抽出器具を引っ張りだしてきてゴソゴソ、という感じではなく、いましがたも飲んでいたらしい、やかんに残ってるコーヒーを、こぽこぽと注いでくれる。
畑をみせてもらう前に、一緒にコーヒー飲みながらおしゃべり。
いつもブラックなのかと聞くと、普段自分用にはたくさん砂糖をいれるんだけど、コーヒーのバイヤーさんがくるって聞いたから一緒にブラックで飲んでみようかと思って。と、ちょっと気恥ずかしそうに笑っていました。
■ 自分でコーヒーを1から作る。
この辺りでは、結婚したら、コーヒーの苗を裏庭に植える風習があるそうな。
ほうっておいたら実がなって、時期がきたら収穫して、手作りパルパーで果肉をとって、屋根の上で乾燥させて、杵と臼を使って脱穀して、フライパンで焙煎して、すりこぎで細かく砕く。それをヤカンに挿れて、お湯を注いでしばらくしたら上澄みからコップに注いで飲む。
ふつうに、おいしい。
なんだかホッとする味。
コーヒー農家のお宅を訪問したらコーヒーがでてくるのは普通なのでは?
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、僕らがはいっているアジアの産地の多くは、伝統的にコーヒーではなくお茶文化のところが多いので、お宅に伺うとよくでてくるのはお茶。
よそいきでもなくインスタントでもないコーヒーをいただくのは、実はちょっと新鮮な体験です。
コーヒー飲みながら話していると、どうやら旦那さんは今、日本で働いているそうです。
建築系のお仕事だそうで、お給料は悪くないし、仕送りをしてくれるのでとても助かっているけど、またこっちで家族一緒に暮らしたいなー。なんて話を聞かせてくれました。旦那さんは、日本でフィリピンのコーヒーを飲みながら故郷を思ったり、するのだろうか。
今年のコーヒーも、届くといいな。
■ チェリーか、生豆か。
今回僕がお邪魔した農家さんたちは、自分たちで飲む用に生豆まで加工もできるけど、
基本的には収穫したばかりのコーヒーチェリーを、「カルサダコーヒー」の精製場に持って行って売っています。
一軒一軒の農家さんたちの生産量はまだまだ少なく、品質にもバラつきがあります。
カルサダコーヒーは、まだまだ産業として成熟しきっていないフィリピンのコーヒーを、安定した量で、世界のコーヒー好きたちにも認められる品質で届けるため、まずは自分たちが精製場をかまえて、徹底的に品質を管理していく必要があると考えています。
一方で、農家さんにとっては、どんな販売方法が嬉しいのでしょうか。
単純に比較すると、生豆のほうがもちろん値段は高いです。
ただ加工には時間もお金もかかるし、チェリーから生豆に加工すると目減りもするので一概にどちらがいいともいえません。
チェリーであれば、栽培と収穫に集中できるので、コーヒー以外の作物に時間を割くこともできるかもしれません。でも時間がたくさん余ってたり、もっとコーヒーにこだわっていきたい人達にとってはもどかしいかもしれません。
答えのない話ではありますが、いろんな人がいろんな想い、優先度で活動をしているからこそ、農家さんにとっては多様な販路が、消費者にとっては多様なコーヒーの楽しみ方ができていくのだと思います。
もらったコーヒーを飲みながら、帰ったらもうちょっとゆっくり考えてみようと思います。