【インド パパクチ農園渡航記 vol.2】- 精選工程について -

前回の【インド パパクチ農園 渡航記 vol.1】産地話に引き続き、今回は、精選工程やドライミルの話をご紹介します。

測り終わった袋は精選工程に進みます。大まかに分けると以下のようになります。

精選工程の話



①粗選別
 └枝や葉などの夾雑物を風で飛ばしながら、チェリー大の穴が 開いた網の上を通ることで選択的にチェリーだけが先へ進んでいきます。


②比重選別
 └水を用いた比重選別です。
水よりも重たいチェリーは下へ沈み、虫食いや過熟になった軽いチェリーは水に浮かびます。沈んだものは先へ進みナチュラルはチェリーのままアフリカンベッドやパティオに広げられていきます。もしくはアナエロビックタンクで発酵工程へと進み乾燥されます。



③パルパー
 └ウォッシュドやハニープロセスのものは果肉除去されます。
ウォッシュドは発酵槽でミューシレージを分解し水洗いされてアフリカンベッドやパティオへ、ハニーはミューシレージが付いたまま乾燥工程へと進みます。




④乾燥
 ・天日乾燥
 └スペシャルティロットについては、ビニールシートと丈夫な帆布の上で乾かされます。
夜には気温が落ちて朝露で濡れてしまうので、帆布で包むことで露に濡れるのを防いでいました。

 ・乾燥器
 └晴れる日が続く場合は天日乾燥で最後まで乾燥できるのですが、天候が優れないときに乾かすときは、薪を熱源とした乾燥器を使用します。
パーチメントコーヒーで一度に6tほど乾燥できるサイズで、35~40℃以下の熱風を送りゆっくりと乾燥を進めます。

天日乾燥



⑤レスティング
 └乾燥工程が終わったら麻袋に詰めて倉庫へ入れます。
パーチメントコーヒーで50㎏/袋で数週間保管されます。
乾燥直後の生豆は外と内の水分値に差があるので、レスティングを行うことで生豆に含まれる水分が全体に均一になじみ水分活性値が安定することで輸送中の劣化原因を減らすことが出来ます。

レスティングが終わったら10tずつトラックに積み込まれ、車で3時間くらいの距離にあるハッサンのドライミルへ持ち込まれ生豆にされます。

パバンさんは将来ドライミルを作ったりしないの?
何気なく聞いたことにパバンさんは、信頼できるパートナーであるヘイマンさんがいるから僕たちは徹底していい品質のコーヒーを作ることができるんだ。だから、今と変わらず自分のできる範囲で求められているクオリティのさらに上を目指してやっていくんだという話をしていました。その後に妥協することのない徹底した品質管理がなされたドライミルを見て、パバンさんの言っていたことがよくわかりました。

この二人のコーヒーへ対する強い想いがあるからこそ実現する品質なんだなと感じるのとともに、その想いをしっかりと日本のロースターさん、消費者の方々にまで伝えられるようパパクチ農園の魅力をもっと引き出していこうと思いました。

さて、ドライミルのお話をしましょうか。

ドライミルの話

各プロセスが終わり、準備が整ったドライチェリーやパーチメントたちが次に向かう先は、輸出される生豆になるまでのドライミルの工程です。パパクチ農園のコーヒーが生豆になるのはラクシュミコーヒーワークス。後に行くサンガメッシュワールコーヒーエステーツが所有するドライミルです。


ドライミルマネージャーのヘイマンさんは、40年もここで働いているそうで、笑顔がかわいらしく優しさがにじみ出てるおじさんです。

ここでは、コモディティとスペシャルティどちらも扱っていて、規模は大きいです。コモディティのミルは効率化優先、スペシャルティは品質優先という形で、混ざることがないように建物も機械も分けられています。どちらも流れは一緒なので、一連の流れをご紹介します。

①プレクリーニング
└コーヒー以外の夾雑物や塵などを飛ばしてきれいにします。

②ハラー
└ドライチェリーやパーチメントコーヒーを脱殻して生豆を取り出す作業です。
ここでは摩擦熱が発生するため、スペシャルティのラインでは熱がこもらないように真鍮製のハラーを使っていました(コモディティラインでは鉄製のハラーでした)。熱による品質劣化に配慮したこだわりですね。

③ポリッシャー
└生豆表面についたパーチメントの残りやシルバースキンを磨いて落とします。
磨くことで表面にツヤが生まれて見た目も良くなります。
磨くことでわずかですが重量が減るので、ポリッシュする産地は多くありません。ここでは、見た目を重視するヨーロッパや日本向け商品を多く扱うためのこだわりを覗き見ました。




④オーシレーター
└中央が窪んでいる円形のテーブルがひたすら回る機械です。
私は初めて見ましたが、インドでは一般的なようで、脱殻しきれなかったパーチメントが外に流れて再度ハラーに入る仕組みになっています。

 

⑤比重選別
└傾斜の付いたテーブルが振動して、重たい豆と軽い豆を分けます。

⑥カラーソーター
└ドイツのビューラー社の選別機が入っていました。
欠点豆がプログラミングされていて、肉眼では分からないほどの微細なダメージも弾いていました。

 

⑦スクリーン選別
└1番最後にスクリーン選別がありました。

他の産地では比重選別の前にスクリーン選別を行って大きさを揃えているのをよく見ますが、インドでは最終工程に来ていて面白いなと感じた点です。


サイズによるグレーディングを行っているインドならではといったところなのでしょう。

すべての工程が完了した後は、オリジナルの麻袋に袋詰めされコンテナに積み込まれます。コンテナを積んだトラックは、トラックごと重さをはかりコーヒー豆の重量を記録したらチェンナイにある港(カッツッパリ港)へと運ばれて、コンテナ船へ積み込まれ約1か月の船旅を経て日本へと到着します。

最後に

今回インドへ渡航し、コーヒー生産の現場を見てきました。そこでは、ババブータンが持ち込んだ数粒のコーヒー豆から始まり、イギリス統治下の影響、大量消費を支える大量生産品、最新のスペシャルティコーヒーとこれまでのインドコーヒーの歴史を肌で感じることができ、まだ見ぬこれからの変化へも対応し得る柔軟性も感じた有意義な渡航となりました。

この記事を読んで、少しでもインドのコーヒーに興味を持っていただけると幸いです。
次はどんな面白い産地の話を皆さんに出来るか楽しみにしております!

本記事でご紹介しているパパクチ農園のコーヒーは、こちらもご覧ください。

インド パパクチ農園
ファインロブスタ ウォッシュ A

甘味を感じるクリーンなロブスタ。