こんにちは。Web担当のアサイです。「コーヒーの産地」という言葉から、どんな風景が浮かびますか?
広大な敷地にコーヒーの木が整然と植えられた農園、農家さんがコーヒーチェリーを一つひとつ摘み取る姿、アフリカンベッド(乾燥棚)の上に干されたクロップ…エリアや栽培方法、精製方法によっても実にさまざま。コーヒーの好みによっても、産地のイメージは大きく異なるのではないでしょうか。
海ノ向こうコーヒーに入社して早半年。Web担当の主な仕事は、産地を訪問しているスタッフや現地パートナーから送られてくる情報を記事やデザインに編集して発信すること。ブランドコンセプトである「遠くに想いを馳せる、想像力を。」を体現するかのように、日々、産地の風景に心を寄せながら働いています。
いろんな産地を知る中で、ふっと一つの考えが浮かびました。
「コーヒーの収穫や精選を体験してみたい」
日本では、コーヒー豆の99%を輸入に頼っていますが、近年ではコーヒーを栽培する農園が増えているようです。ならば、国内で体験できないだろうか。調べてみると、沖縄や鹿児島、小笠原諸島で栽培されていることが分かりました。うぅ、関西からはちょっと遠すぎる……さらにリサーチを進めると、岡山にコーヒー園があるという情報を見つけたのです!!
そのコーヒー園とは、沖縄に本社を置く株式会社アグリジャパンが運営する金甲山コーヒー園。2018年からコーヒーの木が植えられ、2022年から一般の方も参加できる収穫・焙煎体験を開始されたとのこと!しかも、その情報を見つけた時はちょうど募集が始まったばかり!早速、申し込んでみました。
いざ、岡山の金甲山コーヒー園へ
当日は、JR岡山駅からバスに揺られること約30分、停留所から歩くこと約15分。穏やかな瀬戸内海が見える小高い丘を上り、金甲山コーヒー園にたどり着きました。
受付を済ませてからスタートまでにしばらく時間があったので、ビニールハウス内を見学させてもらうことに。ドアを開けると、目の前にコーヒーの木が!枝という枝には、つややかなコーヒーチェリーが零れ落んばかりに実っていました。なんだか、感動です……。
その日はコーヒーチェリーの収穫からスタート。同じ木の、同じ枝の中でもチェリーの熟度が異なるため、お手本と見比べながら丁寧に摘んでいきます。意外にも手間のかかる作業で、最後はスタッフさんに手伝ってもらいながらバケツいっぱいにチェリーを収穫。手についたチェリーの汁から、「コーヒーって果実なんだなぁ」と(今さらながら)実感したのでした。
加工と焙煎を一気に体験
その日はウォッシュド(水洗式)で精製するため、バルピング(果肉除去)にも挑戦!コーヒーチェリーの上に分厚い木の板を乗せて体重を強くかけると、チェリーがつぶれて種子が飛び出るという仕組み。
いざ、始めると、ぐにゅっとした感覚とともに黄色い種子が出てきました。なんだかぬるぬるしてる……そうか、これがミューシレージ(粘液質)なのか。赤い皮がカスカラなのか。一つひとつに感動していたら、他の組に遅れをとってしまいました。
豆をネットに入れて、水につけながらミューシレージをこすり落とした後は、精米機で脱穀!そこからは一気に乾燥工程に移ります。通常ではアフリカンベッドなどの上にのせて約1カ月乾燥させますが、この日は手網焙煎器に入れた豆を火で炙って、一気に水分を飛ばしました。
そこからさらに焙煎工程に突入。さらに手網焙煎器を火にかけながら10分間振り続けます。次第に豆の色が変わり、パチパチっと音を立て始めた時には疲れが吹き飛んで一気に心が踊りました。(終わるころには携帯も持てないほど、腕に力が入らなくなっていました。)
今回は、中浅煎りに仕上げてみました。焙煎豆をミルで挽いて、そのままドリップ。焙煎したて、いや収穫したての豆を農園で飲めるなんて。カップにコーヒーを注ぐ頃には、現実感がなくなりふわふわした心地になっていました。飲んでみたところ、口当たりはすっきり、味わいはキャラメルのように甘くまろやか。アフターには香しさがじんわり感じられました。
金甲山コーヒー園からの帰り道、半年間かけて詰め込んできたコーヒーの知識が自分の身体感覚とつながり、血がめぐっていくのを感じました。
産地から届いた情報を分かりやすく、見やすく整えて発信することはもちろん大事なことです。しかし、これまでは情報を知識で編集していたからか、作業をする過程で情報の中の ”何か” がこぼれ落ちる気がしていました。その ”何か” が産地にいるスタッフの熱量なのか、農家さんの息遣いなのかは分かりません。それでも、今回の体験を通じて得た実感が、その ”何か” につながっているはず。これからはそれらを落とさないように、そしていつも海ノ向こうコーヒーをご利用いただいている方々の皆さんのお役に立てるように頑張ってまいります!どうぞ産地の風景とともに、楽しんでいただけるとうれしいです。
金甲山コーヒー園について
住所:〒702-8011 岡山県岡山市南区郡2243-10
コーヒー収穫・焙煎体験:4月~5月下旬に実施 ※2022年度は終了しています