フレーバー豊かな豆、深煎りでも試してみませんか?

「フレーバーの強い豆は、深煎りにしたらもったいない!」

1年前、まだコーヒー業界に飛び込む前だった私はそう思っていました。鮮やかな酸味や複雑性のある香りが織りなす個性豊かなフレーバーは浅煎りでこそ楽しめる、と。もちろんそれは間違いではありません。生豆そのものがもつ特徴を隠さずわかりやすく表現できるのは浅煎りです。

しかし、さまざまな産地の生豆に出会い、カッピングをしたり商品を試すうちに気が付いたことがあります。それは、味わいの個性がはっきりしているからこそ、そういった生豆は深煎りにも向く、ということです。

なぜなら、生豆そのものが持つ酸が強いから。酸味やフレーバーが穏やかな豆は深煎りにするとフラットな印象になってしまいますが、風味の強いものであればその酸がしっかりと残り味わいに奥行きをつくってくれるのです。

風味の強い豆って…?

例えばスマトラ式。スマトラ式の豆って深煎りになっているイメージが多いのではないでしょうか?
素材自体がトロピカルフルーツのような酸味や力強いアーシーフレーバーをもっているからこそ、焙煎によって味の発達が促され、深煎りになってもその特徴が残るのです。

そんな説を今回は、、、、

ケニア シンバで検証してみました

ケニアといえば、フレッシュで明るい酸味が特徴として謳われることが多いもの。時には酸のインパクトが強すぎて苦手、、といった声を聞くこともありますが、今回はこの酸質を活かして深煎りにするとどのようなフレーバーが生まれてくるのか、まとめてみます!!

浅煎り(1ハゼから10~20秒くらい)では、、

すっきりとした液質で、酸味と甘みが口の中に広がります。グレープフルーツジュースのようなフレッシュなフレーバーがあり、さわやかな印象を受けます。

深煎り(2ハゼから2分くらい)では、、

浅煎りの時よりも液質にとろみを感じ、心地の良い舌触りになります。酸味を残しつつ、ぐっとボディが増すことでカシスやプルーンのような深みのある甘さが生まれてきます。

甘さが舌の上に残る感覚は、深煎りの質感ならではのもの。ミルクを合わせても負けない味わいです。

【焙煎プロファイル(深煎り)】
1バッチ目の焙煎、投入量:2㎏、 投入温度:170度、ボトム:100度/2分、 1ハゼ:10分半、2ハゼ:14分半、排出:16分半
※使用焙煎機:FUJI ROYAL R-103 半熱風(3kgサイズ)

酸味やフレーバーの特徴が強い素材は、深煎りにしても味が抜けることなくしっかりと個性を保ってくれ、浅煎りにした時とは全く異なる表情を見せてくれます。

焙煎度別で異なる味わいが作りやすいのもこういった豆の魅力といえるのではないでしょうか。

フレーバーやボディの存在感があるからこそ、シングルはもちろん、ブレンドに少し足すことで味の厚みをぐっと底上げしてくれます。
「ケニアは浅めの焙煎しかしたことがなかった」という方、良ければ一度焙煎度を変えて試してみませんか?