タイの現地パートナー Beanspire代表 フアディに産地担当 山本がインタビューしました!

タイのコーヒーシーンを先導する現地パートナー・Beanspire。その代表を務めるフアディに、産地担当 山本がインタビューしました。タイ国内でコーヒーはどのように消費されているのでしょうか。

山本:タイの全体的なコーヒー動向を教えてください

フアディ:基本的に日本で見られるようなカフェはここタイでも数多くあります。現在タイの国内消費は70万トン。そしてタイコーヒーの全生産量は、アラビカ種ロブスタ種合わせて35万トン。そのほとんどが国内で消費されています。また国内生産量だけでは消費量をカバーしきれないため、ラオスやミャンマーからも密輸しています。コーヒー農家にとって、タイ国内で販売することはとても重要で、ライセンスなどを取得しなくても気軽にコーヒーを販売することができます。自国で生産したコーヒーを自国で消費する。他国ではあまり見られないユニークなコーヒー市場になっています。ただ、コーヒー市場に多様性を生み出すために、海外向けに販売する必要があると思います。

今回のパンデミックはその多様性の重要さがとても身に染みました。2021年からのコロナの影響で、当初は感染拡大を抑えることがうまくできていましたが、第二波あたりからコントロールができない状況になりました。そして、多くのコーヒーショップが通常営業を行うことができず、閉店を余儀なくされたお店が増えていきます。こうした状況により、タイ国内のコーヒー消費が極端に下がり、コーヒーに関連する会社も大きな被害を受けています。Beanspireは海外にもビジネスを広げていたため、その被害を最小限に抑えることができました。今年生産したコーヒーは日本やアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパなどに輸出することができ、農家さんと継続的な関係性を築くことができています。コロナの影響はいまだ深刻で予断を許さない状況ですが、海外に目を向けてマーケットを開拓しておいて本当に良かったと感じています。

山本:タイ産コーヒーの多くが国内で消費されるという点はとても興味深いですね。主にどんな場所で消費されるのでしょうか。カフェの他にも家庭やオフィスでも盛んに飲まれているのでしょうか。

フアディ:コロナ前まで、タイではスペシャルティコーヒーの市場が急速に広がっていました。現在は、カフェより家庭でコーヒーを楽しむ方が多くなりました。(この急速なスペシャルティ消費傾向の広がりやコーヒーそれ自体の消費は生産者の経済的後押しとなっています。)最近までは、フリーズドライのインスタントコーヒーや昔から愛飲されている練乳と混ぜて飲むスタイルが一般的でしたが、ここ数年、その一部がスペシャルティ消費に移行しています。また、このスペシャルティコーヒー消費の動向は、今までコーヒーに見向きもしなかった新しい購入層にも波及し、マーケットを後押ししています。オフィスでは安価なコーヒーが消費されていると思います。

山本:どんな焙煎度合いが好まれているのでしょうか。

フアディ:スペシャルティコーヒー界隈ではライト~ミディアムが主流です。個人的には、日本の焙煎度合いの多様性を羨ましく思っています。日本では、若手のロースターさんたちも深めで焙煎する人が多く、しかもかなり高い品質の原料を使用しています。タイでは、深めの焙煎は品質が低いコーヒー、安価なブレンドコーヒーに使うという考えが広まっています。

山本:タイ産のコーヒー以外に他国のコーヒーも販売されていたりしますか?

フアディ:タイでは輸入にかかる税率がとても高く、高品質のスペシャルティコーヒーを扱うことは難しいです。タイ政府によって国内コーヒー生産者を守るための政策が行われています。実際、その政策によって国内コーヒーの消費が大いに増えていますし、ケシ栽培からの転換作物として成功しています。また、国外から調達することが難しい側面から、タイコーヒーは売り手市場です。他国の市場とは異なる形で値付けされています。とはいっても、バンコクのカフェでは、コロンビアやケニア、コスタリカ、ブラジル、パナマのコーヒーもよく見かけますね。