フィリピンコーヒーのお話

産地担当の山本です。

さて、ちょうどフィリピンコーヒーを販売し始めたので、今回はフィリピンのことについて少し書こうと思います。

僕がコーヒー栽培のことを勉強し始めた国フィリピン。
コーヒー栽培に興味が出てくる前は、フィリピンでもコーヒーが作られていることに見向きもしていませんでした。

フィリピン行きが決定するまでは、アフリカコーヒーをもっと知りたいと思い、アフリカ各国のコーヒー研究所に連絡をして、働かしてくれとお願いしていたのを覚えています・・・
アフリカ行きは難しいかな〜なんて考えていた折、縁あって、フィリピンベンゲット州立大学でコーヒー研究をすることになりました。

フィリピンは多くの島で構成された国で、首都マニラがある島はルソン島。
コーヒー生産地としては、ルソン島とミンダナオ島が有名です。

特にコーヒー栽培と文化が発達したのは、ルソン島の北部コーディリエラ地域。スペインが占領した時代(1600年頃)にコーヒーが導入され、以後栽培され続けています。
以前は、生産量もかなり多く、コーヒー輸出国として有名でしたが、サビ病・経済発展等々により生産量は激減。今ではその少ない生産量が国内にあるスペシャルティコーヒーロースターに販売されることが多くなってきました。

コーディリエラ地域の中で主にコーヒーが栽培されている州は、ベンゲット州、マウンテンプロビンス州。
標高は800~2000m近くまでと幅広く、アップダウンの激しい山岳地帯で、平らな土地は少なく、何を栽培するにも斜面を利用して栽培されており、コーヒーも急斜面に植えられています。アラビカ種が主に栽培されています。
品種は、カティモール系が多いものの、ブルボン、ティピカと行った品種も点在しています。

大農園というものは基本的に存在せず、小農家さんで構成されているこの産地では、コーヒーは副収入、いや副々収入ぐらいのもので、主に野菜と米が栽培されています。この主産物である野菜の中でも、サヨーテ(ハヤトウリ)がものすごい量で栽培されています。

このハヤトウリを山肌に栽培するということは、山に植わっている自然林を伐採して光が当たるようにしてからプランテーション化していくことになり、山の保水力が著しく悪くなり、村に供給する水の確保がとても難しくなります。何より動植物が少なくなってしまう。

そういったこともあって、コーヒーは環境を守り、収入源としても有用なものとして注目を集めています。

コーヒーは環境保全においてもフィリピンではとても有効だということで、植林活動を始めた現地NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)代表反町真理子さんは、現在コーヒープロジェクトを立ち上げて各産地の農家さんに栽培セミナー、精選トレーニング、支援を行なっています。そして、Kapitako Enterpriseを立ち上げて、日本への輸出、国内での焙煎豆販売も行なっています。

詳しくはPodcastでお話ししています。
Podcast: フィリピンコーヒーのお話*音が切れることがあります

このコーディリエラ地域において、コーヒーは必需品。日常的にコーヒー農家さんも自分たちで焙煎し、コーヒーを飲んでいます。物々交換にも使われていたほど(低地にある塩と高地で取れるアラビカコーヒーを物々交換)、コーヒーがこの地域の人々に浸透しているので、伝統的な精選方法でコーヒーが加工されています。焙煎はフライパンで真っ黒になるまで焙煎。

ある面で、輸出レベルの品質まで仕上げるのがとても難しい地域です。

それでも、反町さんをはじめCGNのスタッフは、毎年のように各産地を周り、品質向上トレーニングをおこなって、少しずつ、少しずつ品質をあげています。
今回は、そのCGNの皆さんとコーヒー生産者さんたちが作り上げたコーヒーを販売です。

標高1400〜1600Mに位置するベンゲット州トゥブライ コロス村のコーヒーです。
以前、台風の襲来により、大きな土砂崩れがあり多大な被害を被った地域で、植林活動とコーヒー栽培の拡大を継続的に行なっている村です。生産者は20名ほどおり、収穫から乾燥したパーチメント仕上げてもらっています。
精選方法は水洗式。乾燥は、唐箕に使うカゴの上で乾燥させます。
山岳地帯なので、午後には雲が出てくる地域で(雨が降ったりもします)、乾燥工程がとても大変な地域です。

品種はブルボンとカティモール

この細長い木がアルヌス

アルヌスと呼ばれるハンノキ属やカリアンドラと呼ばれるマメ科の植物をシェードツリーに利用したり、果樹系の木をシェードツリーに使用して、その下にコーヒーの木、その下にサツマイモや生姜といった作物を植えています。まさにアグロフォレストリーを大いに実践している産地です。

すでに文化的に受け入れられているコーヒーなので、品質を上げていくことに興味を持ってもらうことが難しく、「このままでもいいじゃん。だって昔からこのコーヒーを自分で飲んでるし。」といった農家さんが多いです。僕自身、彼らのコーヒー文化がとても好きなので、それもありだなと思いつつ、海外向けには改善が必要なところは、「それでいいと思う。だけど、売り物としてはバイヤーさんの気持ちも汲んであげないと〜」と伝え、特に乾燥と保管をの部分を重点的に伝えています。

アジアの他の産地と比べると、まだまだこれからの産地ではありますが毎年の品質改善を楽しみにしている産地でもあります。今回のクロップは、コロナの状況もあり、輸出関連の会社や窓口が全てストップ。通常4月や5月に入荷するのですが、11月にようやく日本へ入港しました。

次入荷するクロップを楽しみにしつつ、今回のコーヒーを一度試していただけると嬉しいです。

遅く入ったこともあり、少し疲れてきているかなと思う品質ですが、中深煎りでは抜群の甘みを感じます。

焙煎度を変えた香味情報

Light Roast
すっきりとして、口当たりがとてもスムースです。ナッツ系の香りとブラウンシュガーのような甘味があります。

Medium Roast (Yamamoto, Tarekおすすめ)
ボディと甘みのバランスが良いなと感じます。香ばしいナッツ感ともバランスが取れている印象です。

Dark Roast(Masuda、Yoshimura、Nabatame、Imamuraおすすめ)
苦味が先行しすぎず、程よいボディとともに感じます。カカオの印象があり、後味も心地よく、中深煎り、深煎りがあっている印象です。

お試しを!

ちなみにKapitakoとは、現地のイロカノ語で「コーヒー飲もうよ!」という意味。小農家さんのところに行くと必ず投げかけられる言葉です。

何気ない言葉ですが、それが彼らの、おもてなし。彼らのコーヒー文化です。