産地訪問(インドネシア~西パプア)〜前編〜

海ノ向こうコーヒーで部長と産地担当をしている山本博文による連載をお送りします。
今回は、インドネシア〜西パプアのコーヒー産地を訪問した際の記録となります!

11月の初旬からインドネシアへ

ジャカルタコーヒーウィークという展示会に参加するのと産地を色々と回るため、インドネシアに来ている。

この記事を書いている場所はバリ。乾季というのに外は雨だ。

バリ島のコーヒーは日本でも有名だ。「SHINZAN」というブランドは、すでに引退してしまったが、日本のコーヒー業界を牽引してきた伝説的なトレーダーが開発した商品。
バリ島では今、昔ながらのトレーダーたちと新進気鋭の若手の加工業者がせめぎ合って品質・量共に向上が凄まじい。ローカルの人のみで構成された生産者グループや農園、大手トレーダーがハンドルするものから、ローカルとトレーダーが手を組み良質なコーヒーを作り出しているところもある。

今後のバリ島のコーヒーは今までにないものがたくさん日本にも紹介されてくると思う。

西パプアという土地

バリ島に来る前に行っていた場所は、初めて渡航した地域、西パプア州だ。日本ではまだ入荷はほぼないと思われる産地で、パプアニューギニアの西側がその州に当たる。インドネシアの一部として成り立つその州では、スマトラ島、ジャワ島、スラウェシ島とは大きく違った場所となっている。

引用元:Googleマップ

西パプアはその島独自の民族で構成されている。ダニ族とラニ族がその主な民族で、ジャヤプラが経済の中心。ほぼ山岳地帯の自然豊かな場所、というか自然ばかりの場所。

クリスチャンが多く、毎週日曜日には真面目に教会に行く。インドネシア語をしゃべるものの、パプアニューギニアで使用されるピジン英語と彼ら独自の民族語もしゃべる。インドネシアに所属することを良しとせず、自らを独立した国として現在も反対勢力とインドネシア政府との攻防が絶えない場所でもある。そのため、西パプアへ行く僕のことを 

「さらわれないようにね」
「行かない方がいいよ」
「あそこはインドネシアではない。気をつけなさい」

といった言葉をかけられた。

コーヒーの産地は西パプアの中央に横切る山岳地帯に広がっている。Wamenaと呼ばれる島の中央都市(というか街)から東西に広がるその産地は、標高が1700m〜2200mと高い。Wamena空港からすでに1700mだ。今回は、このWamenaから西へ行った場所、PyramidとTiomという産地へ行ってきた。どちらも可能性が大いにある産地であった。

PyramidはWamenaの中心地から車で1時間ほど西に行くとある。Agonga村と呼ばれるその村では20世帯が暮らしており、一つの大きな農園を皆で管理し、収穫を行っている。アルビジア(「この木なんの木」の樹と同じ種類)をシェードツリーとしてその下にコーヒーが植えられている。平坦な地形で樹間は2m×1.5m程度。コーヒーの他に、米、パイナップル、さつまいも、キャッサバ等が栽培され、家庭で消費される。一部は市場で販売されたりもする。

ここでのコーヒー栽培は1トン程度。標高も高く品質のポテンシャルが高いものの、使用される水がクリーンではないことが難点。また乾燥時の方法がブルーシートの上で乾燥されるため、水分活性値が高い状態で保管されているため、アピアランスが悪くなる。栽培においては、適宜剪定が行われており、とても良質であるものの、コーヒーベリーボーラーという虫の被害が多い。少なくとも収穫の30%ぐらいは被害を受けており、さらなる拡大が広がる恐れがある。精選、虫対策の方法をお伝えした。

それはそうと、このAgonga村を含め周辺の村では伝統的な家が必ずある。藁葺きでできているその家は、男性が住む家、女性が住む家と分けられており、結婚したら夫は妻の寝る家に夜這いに行くそうだ。妻が夫の家に行くことはないらしい。台所はまた別の家にあり、肉を焼くときは外にある積み上げた石の上で石焼にする。宗教的な規制がないこの村ではなんでも食べる。特に豚はとても価値が高く、結婚式の時などには必ず結納品として豚を数頭、妻方の家に収めるそうだ。お金よりもモノやコトの価値を重視する地域性だと感じる。

後編へ続く