コーヒーの面倒を見たがらない村

2024年5月上旬、2月の調印式ぶりにラオスを訪れました。ハノイを経由して、いつものプロペラ機でルアンパバーンの空港に降り立ちました。もうすっかり夜だというのに、むしむしした暑さを感じました。前回の渡航からまた少し季節が変わったように感じました。

今回の目的は苗木を植えるためのワークショップを行うこと。海ノ向こうコーヒーのスタッフとして初めてビエンカム郡の村々を訪れた旅でした。

ルアンパバーンの市街地から車を走らせること3時間半。ルアンパバーンでは4月に焼畑のシーズンをむかえます。訪れた時も、村までの道中、ちらほらと焼畑の煙が上がっているのが見えました。

(道中に見えた景色)

「牛のえさになる草を育てる土地をつくるために焼畑をしていることが多いんだ。あちこち焼かれているように見えるかもしれないけれど、これでも去年よりはマシだよ。去年がすごかったんだから。大気汚染値も基準の倍ぐらいだったんだ。」

と周りの景色を見ながらサフロンチームのメンバーが話してくれました。

市街地を離れ、山道を行くこと3時間半。最初の村、フエカイ村へ到着しました。63家族のクム族の住む小さな村。土のメイン道路を挟んで北側と南側の斜面に家が点在し、畑が広がっています。

(フエカイ村の朝焼け)

とても大きな葉っぱをつけたしょうがにバナナ、サトウキビ、ポメロなどの野菜や果物が植えられていました。ちょうどタケノコの季節。村の小さな商店には旬のタケノコも売られていました。

(村人たちはふだん2キロ先の水源に水汲みに行く)

「プロジェクトの活動で、この村で苗木を育てているけれど、水の調達が課題なんだ。水源があるのは村から2キロ離れた場所。
汲み上げるポンプも壊れてしまって、直さなければいけない。貯水タンクも設置したけれど、一次的な対応でしかなくて、水問題の根本を解決するのは難しい。」

この村で直面している課題も少し見えてきました。

フエカイ村の家庭の庭先には、ぽつぽつとコーヒーの木が植わっていました聞けば5年前、サフロンコーヒーがこの村に苗木を配ったことがあったけれど、村人の多くがお世話を放棄して、枯れてしまった木も多かったのだとか。

「収穫量の少ない最初の4年間はコーヒー栽培にとって厳しい道のり。面倒を見たがらないのが課題だよ。」

サフロンコーヒーのスタッフたちがそう言います。だからこそ、定期的に訪れて状況を把握し、一つひとつの課題に取り組み、モチベーションをつくっていくことが大切なんだと思います。それをまさに今、サフロンチームのスタッフたちと考えているところです。

フエカイ村では11家族がプロジェクトに参加し、10,000本のコーヒーの苗木を育てていく予定です。

(村の苗床。ここで10,000本のコーヒーの苗木を育てている)

「日のよく当たる南側には1.5メートル×2メートル間隔で植えていこう、日が入りにくい北側はコーヒーの木の間隔を広く取って植えてみよう。
2メートル間隔ぐらいかな……。
村のどこに植えるのがいいかな……。」

サフロンコーヒーのスタッフたちとフエカイ村の農家さんたちが一緒に考えながら、話を進めていく姿がありました。