ウガンダで始める「脱炭素コーヒー」への挑戦

海ノ向こうコーヒーは、コーヒーを中心とした再生・循環経済の実現を目指すValue way株式会社と協働し、ウガンダにおける脱炭素コーヒーの取り組みを支援するプロジェクトを開始しました。

そもそも「脱炭素化」って?

近年、耳にすることのある「脱炭素化」。なんとなく「二酸化炭素の排出を抑える」や「化石燃料を使わない」などといったイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

簡単に言うと、脱炭素化とは、人間の活動によって出てしまう温室効果ガスを減らし、増やさない社会に変えていくことなのです

脱炭素化とは、二酸化炭素を減らすことだけではありません。とくにコーヒーを栽培する過程では、化学肥料の大量使用で発生する一酸化二窒素(N₂O)や、精製工程で出るコーヒーパルプの腐敗などからメタン(CH₄)などが排出されます。実はこれらは二酸化炭素の数十~数百倍もの温室効果があると言われています。

とはいえ、これら温室効果ガスを完全にゼロにすることは難しいため、単なる排出量の削減がゴールではなく、地道な削減努力を積み重ねながら、最終的にできるだけ減らして、出てしまった分は吸収・相殺するという実質ゼロ(カーボンニュートラル)の取り組みも始まっています。コーヒー産業においても、脱炭素化やカーボンニュートラルに向けたさまざまなアクションが起こっています。

ウガンダでの取り組み

Value way株式会社は、我々が直面する「コーヒー2050年問題」の解決をミッションに掲げ、2023年10月に設立されました。一次データに基づくカーボンフットプリント算定や、バイオ炭化による資源循環、さらにはカーボンクレジットの開発に至るまで、持続可能な循環型社会の構築を視野に入れた取り組みを展開しています。

ウガンダは有数のコーヒー輸出国である一方、気候変動の影響や土壌劣化といった課題を抱えています。そこで同社が独自に開発したアプリを活用し、コーヒーの栽培から輸送に至るまでのバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量を、カーボンフットプリント(CFP)として可視化する取り組みを進めています。

海ノ向こうコーヒーもこの取り組みに協働し、カーボンフットプリントのデータをもとに、環境負荷の少ないコーヒーのテストマーケティングを行うとともに、産地での脱炭素の取り組みが「価値」として消費者に届くよう、市場で評価されるモデルの構築を目指します。

コーヒーが消える?コーヒー2050年問題

「温室効果ガスによる気候変動の影響で、2050年にはコーヒーの生産量が半減する可能性がある」とされるコーヒー2050年問題。産地ではすでに雨季と乾季の境目がなくなってきていたり、昼夜の寒暖差が少なくなったり、さび病などの病気が発生したりといった問題が起きています。コーヒー生産者の多くは小規模であるため、こうした気候変動による収量や品質の低下は、生活の貧困に直結します。その結果、コーヒー栽培を続けられない生産者が増えるという悪循環も生まれています。

コーヒーは、栽培から精製加工、輸送、焙煎に至るまでの工程で大量の温室効果ガスを排出する産業でもあり、気候変動の影響を受ける側であると同時に、影響を与える側でもあるのです。森林を守りながら、農薬や化学肥料、エネルギー使用を抑えて育てることで、土壌や生態系のバランスが健全に保たれ、気候変動の影響を受けにくく、結果としてコーヒーの品質や収量が安定します。また、環境負荷の少ないコーヒーの栽培に取り組む生産者を支えることは、気候変動に歯止めをかけ、持続可能なコーヒーの未来を守ることにもつながります。

カーボンフットプリント(CFP)コーヒーとは?

カーボンフットプリント(CFP)コーヒーとは、コーヒーの栽培から精製加工、流通、焙煎の全過程で排出される温室効果ガスをCO₂換算で可視化したコーヒーのこと。つまり、「どの工程で、どれだけ環境負荷がかかっているのか」が見えることで、具体的な排出削減のアクションにつなげることができます。

例えば、廃棄されているコーヒーかすを再利用し、バイオ炭として土壌に戻す取り組みがあります。バイオ炭が土壌微生物の働きを助けながら、温室効果ガスを土の中に吸収・固定する役割を果すため、排出量を減らすだけでなく、農業そのものを「排出源」から循環型で持続可能な営みへと変えていく可能性を秘めています。

さらに、数値化することで環境に配慮した取り組みがデータとして評価されるようになり、「炭素を減らした/吸収した」という新たな付加価値として販売できることで、生産者の収入向上にも繋がります。

さらに、生豆業者やロースターにとっては、環境負荷を見える形で消費者に伝えることで、ストーリー性のある商品づくりや信頼性の高い情報発信が可能となり、ブランド価値の向上や顧客との長期的な関係構築にもつながっていきます。

坂ノ途中が取り組んでいること

海ノ向こうコーヒー(株式会社坂ノ途中)は、令和7年度経済産業省「アフリカ市場活力取り込み支援事業(AfDX)」*に採択されました。このプロジェクトでは、日本企業とアフリカの現地パートナーが連携し、イノベーティブな手法による社会課題の解決と持続可能なビジネスの創出を目的としています。

今回、「コーヒー×脱炭素化×データ可視化」という切り口で、コーヒー栽培から輸送までのバリューチェーン全体にかかる環境負荷を可視化し、温室効果ガスの排出削減と環境に配慮した農法への転換、さらには脱炭素コーヒーの日本市場への流通開拓を支援することで、コーヒー産地の土壌改善と所得向上の両立を目指します。

▼令和7年度経済産業省 アフリカ市場活力取り込み支援事業(AfDX)の詳細はこちら

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000130455.html

海ノ向こうコーヒーでは、コーヒーサプライチェーンの脱炭素化に向けた調査事業に先立ち、国内のロースターおよび個人会員向けにアンケートを実施しました。結果、「カーボンフットプリント(CFP)コーヒー」という言葉の認知度は全体の3割程度にとどまるものの、これまで認証コーヒーなど環境負荷の少ないコーヒーを意図的に選んで購入した経験がある人は約半数にのぼり、味と品質に大差なければ環境に配慮したコーヒーを選ぶという意識傾向が見られました。

今後は、Value way株式会社と協働で、ウガンダをパイロットとして脱炭素コーヒー栽培の取り組みを支援していくとともに、品質の担保と生産者の収入の安定化を図りながら「カーボンフットプリントの見えるコーヒー」が日本市場でより広く認知されるよう、継続的に情報を発信していきます。

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