ミンガラーバ[こんにちは]!
産地担当の安田です。
ミャンマーはユアンガンに行ってきました。
ユアンガンはミャンマーのシャン州の高原にある小さな小さな町です。
こちらも今は冬のはじまり。寒さは日本ほどではありませんが、
夜は、水シャワーを浴びるくらいならお風呂に入らないことを選びたいくらい、
朝は、毛布2枚かぶって日がすっかり昇るまで寝続けていたいくらいには冷え込みます。
ユアンガンを訪れるのは今年で2年目。
ここに「ミャンマーの庭先コーヒー」をつくってくれている農家さんたちと、現地パートナーのジーニアスコーヒーさんがいます。
今年もジーニアスのゲストハウスを拠点に、農家さんめぐり。
精製場もすぐ近くにあります。
去年の収穫期直前に新しい精製場がオープンし、バタバタの中でみえてきたいろんな課題を、一年間かけてじっくり改善しこれからの収穫期に備えてきました。
今年のコーヒー品質向上に向けた取り組みは語りきれないのでまた後日ご紹介するとして、
今回は、今年初めて農家さんたちと一緒に挑戦としている「マイクロロット」について。
現地で話したこと、迷ってることなど、お話させていただきます。
< そもそもマイクロロットとは >
いろんな意味で使われている言葉ですが、
ここではざっくり「誰がどんな風につくったのか、できるだけ細かい単位まで追跡できるコーヒー豆」くらいの意味でつかっています。
コーヒーがお好きな方なら、農園の名前だったり生産者の名前がついたコーヒーを手にされたことのある方もいらっしゃると思います。
もしかしたら、さらにその農園の一番陽当たりのちょうどいい一区画を限定して採れたコーヒー、なんて紹介をされたコーヒーを飲んだことがある方もいらっしゃるでしょうか。そういうイメージです。
ただ多くの場合、一般に流通しているのはとても大きな規模でされている農園主さんのコーヒーであることが多いので、小規模農家さんたちがつくった庭先コーヒーを集めているユアンガンでの取り組みのイメージとはちょっと違うかも知れません。
僕らが販売している「ミャンマーの庭先コーヒー」の場合だと、
ミャンマーのシャン州、ユアンガンという標高が1400-1600m あたりの地域で、2017-18年に収穫されたチェリーを手摘みで収穫し、ジーニアスという会社の精製場で、ハニープロセスという精製方法で仕上げた。スクリーンサイズは15以上で、比重選別時に比重の重いもので、最後に手選別で欠点豆をはじいたもの。品種はカトゥアイとサンラモンがメイン。
というところまではわかります。
ここまでわかっていれば十分マイクロだと思いますが、1袋ごとにみると、どの村の、どんな農家さんがつくったかまではわかりませんし、どの品種が何%ずつ含まれているか、その畑には他にどんな木が植わっているのかなんかまではわかりません。
どれくらい細かい単位までいけば”マイクロ”と呼べるのか、明確な基準があるわけではないのですが、今年は「どの農家さんがつくったコーヒーなのか」まで追跡できるコーヒーをつくることを目指したいと思っています。
< なぜマイクロロットに挑戦しようと思ったのか >
実はもともとは、今年は「どの村で作られたのか」まで追跡できるようになればいいなと考えていました。
理由は簡単で、もっと深くコーヒーのストーリーを知りたかったからです。
念頭にあったのは、「ラオスの森コーヒー」でいうところのロンラン村とのような関係性。僕たちは3年前から通わせてもらっているので、村のお祭りの時期も知っていますし、どこに誰の家があって、お孫さんがどこの学校に通っているかなんてことも知っていたりします。
品質向上に向けた取り組みが集中して継続できることも理由の一つです。虫害がひどいからといって今年は違う村から買う、ではなくて一緒に解決しよう。と取り組んでいます。
ラオスでは、ロンラン村から収穫したてのコーヒーチェリーの状態で届けてもらって、現地パートナーである「サフロンコーヒー」の精製場にもってきてもらいます。
これと同じ仕組みをイメージしていたのですが、相談したところジーニアスの精製場では、村単位での精製はネガティブでした。
村単位ロットをつくることの、機能面での難しさは2点。
1. (ラオス北部と比較すると)精製場の機械化がすすんでいて、一度に処理する量が多いため非効率。
2. そのまま乾燥するだけのナチュラルプロセスならやれなくはないが、乾燥に時間がかかるので乾燥棚が足りなくなる。
もう一つは、ジーニアスはそもそものマイクロロットに挑戦する意義として、「農家の自立」をあげてくれました。
ジーニアスの活動の目的は、僕らと同じく小規模農家さんのサポート。
そのためこれまでは、農家さんに精製場や機械に対して投資をして徹底的にジーニアスの自分たちの精製場で品質管理を行ってきました。
実際に品質は向上し、スペシャルティとしてどこの国でも通用する品質を実現しています。
農家さんたちにはとにかく熟度の高いコーヒーを収穫することに専念してもらい、一般的な仲買人と比較して高い買取価格で購入することができています。
品質管理をさらに徹底していくのはもちろんだが、一方でこれからは農家さん自身に精製をお願いしていく機会もつくっていきたいと話してくれました。
そういうわけで、農家さん自身に精製をお願いできないか、頼むことにしました。
ただそれは、農家さんにとっても僕たちにとってもリスクを伴います。
果たしてこの提案がいい提案なのかどうか…一晩悩んでもわからなかったので、直接ぶつけてみよう!
くらいの投げやりな感じで、農家さんに聞いてまわってみたお話は、長くなってしまったのでまた次回。