マンデリンコーヒーとは?味の特徴や精製方法についてご紹介

ブラジル、コロンビア、ガテマラにモカ、そしてマンデリン。喫茶文化の根付く日本で、コーヒーメニューの定番として、古くから親しまれてきたもののひとつが「マンデリン」の愛称で知られるインドネシア産のコーヒーです。今回は、マンデリンがどこで、どのように作られて、どんな味がするのか、マンデリンについて詳しく説明していきます。

マンデリンの生産地「インドネシア」

マンデリンとは、インドネシアで生産されたコーヒーの銘柄のことです。インドネシアは、東南アジア南部に位置する国。約18,000の島々からなる島嶼(とうしょ)国家で、面積はなんと日本の約5倍!人口は世界4位です。

インドネシア全体のコーヒー輸出量は世界第5位を誇ります。島ごとに異なるキャラクターや品種、精製方法などを有し、世界中のコーヒー生産国の中でも、コーヒーの多様性にとんだ生産国とも言われています。

インドネシアでは、さび病の広まりをきっかけに、ロブスタ種の栽培への切り替えが行われ、現在では国の生産量全体の9割弱がロブスタ種ですが、スマトラ島を中心にアラビカ種の栽培も続いています。

マンデリンはインドネシアで生産されたコーヒー全般を指すわけではなく、全日本コーヒー公正取引協議会の規定では、スマトラ島北部に位置する、北スマトラ州とアチェ州で生産されるアラビカ種のコーヒーのことを「マンデリン」と呼ぶと定義されています。

インドネシアのコーヒーでは、マンデリンの他にもジャワやトラジャ、コピ・ルアクなど様々な種類がありますが、インドネシアの中で生産量がただでさえ少ないアラビカ種の中でも、マンデリンは全体のたった数%ほどしか栽培されておらず、希少性が高い種類なのです。

ちなみにマンデリンの名前の由来は、スマトラ島のマンデリン族がコーヒーの栽培を始めたことが由来となっているようです。

マンデリンの味の特徴「アーシー」とは

マンデリンと聞いてみなさんが思い浮かべる味はどのようなものでしょうか。「少し土っぽい味」「ガツンと目が覚めるようなコク深さ」深煎りの定番として親しまれてきたマンデリンのコーヒーには、こういった印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

実はマンデリンと言われるものの多くが、伝統的にはアラビカ種のなかでもティピカ系統の栽培品種であることから、柑橘系の明るい酸味も特徴的なのです。浅煎りのマンデリンもわたしのお気に入りのコーヒーのひとつです。

カッピングのコメントでは、「特有のスパイス感やハーブらしさ、明るい酸味、コク」をひとことで表す表現に「アーシー」という言葉があります。「アーシー」だけでは一般的にネガティブな表現としてとらえられることもあるため、「エキゾチックアーシー」や「エスニックアーシー」と言って、この地域特有の味をポジティブに表現することもあります。

アーシーさを生み出す精製方法「スマトラ式」

このアーシーらしさを生み出すのが、スマトラ式(ウェットハル)というインドネシアならではの精製方法です。マンデリンの味わいに特徴づけられるあの味わいは、実は、精製方法によるものなんですね。現地語では「ギリンバサ」と言われ、「濡れた状態で脱殻する」という意味を持ちます。

スマトラ式が他の精製方法と異なる点は、乾燥工程が2回あることと、生豆を完全に乾燥させる前に脱殻してしまうことがあげられます。インドネシアは熱帯気候で雨が多い土地柄のため、長期の乾燥は不向きです。そのため、スマトラ式では、2度乾燥工程を挟むことで、乾燥時間を短くしているのです。

1次乾燥は各農家さん自身がパーチメントの状態で水分値40%前後まで乾燥を行います。この状態の豆はGabahと呼ばれており、そのGabahをコレクターや生産者組合等が集荷し、彼らによって脱穀されます。

Gabahを脱穀すると白っぽく柔らかい状態の生豆が現れ、これはLabuと呼ばれます。

2次乾燥では、Labuを水分値15%にまで乾燥を行います。脱穀したての時は、手の指で生豆を割くことができるぐらいの水分量の高さですが、これを丁寧に数日かけて乾燥させている間に、スマトラ式特有のあの青々とした色合いになってきます。

この2次乾燥された無選別状態の生豆は、Asalanと呼ばれます。

一次乾燥のパーチメントの状態【Gabah】→脱穀された状態【Labu】→2次乾燥された豆【Asalan】

状態によって呼び名が変わるのも面白いですよね。

また、出来の良いLabuは青みがかった色をしていることから、現地ではブルーのLabuがいいとされています。スマトラ式らしい深緑色の生豆にするため、良質なLabuを集めることがコレクターの腕の見せ所だったりします。

海ノ向こうコーヒーでは、マンデリンの商品をいくつか取り扱っています。それぞれの個性や味の違いがわからない…という方も多いのではないでしょうか?そこで、現在取り扱っているマンデリン6種とクリンチマウンテン2種を徹底比較してみました!詳細はマンデリン特集ページよりご覧ください。