ホントに植えちゃった。ネパールのコーヒー産地から。

2019.07.14
  • 産地の話

ラッソー(タマン語でナマステ)。
産地担当の安田です。

ネパールから帰国しました。
山の国ネパールでは、農村部への移動がとにかく大変。
常にガタガタ道をジープに揺られすぎて、日本に無事着陸した今も、地面がユラユラ揺れているような気がします。

いろんな産地を訪問するのが仕事ではありますが、
車酔いに弱い僕としては、正直に申し上げて、ネパール、超つらい。笑

一方で、一番多くのことを学ばせてもらえる産地の一つでもあります。


(ジープ。山登ってる時はクーラーつかない。あとシートベルト壊れてた。)

継続して関われること、のありがたさ。

ネパールに訪れるのは今回で3回目。
(前回の渡航報告「ネパールでコーヒーを一からつくる。」)

あの頃から考えると、
現地で新しいコーヒーの会社が登記されようとしていたり。
今期63,000本の苗が新しくネパールの土地に植えられたり。
1年半前、はじめてのネパールで出会った、現地企業のインターン生だった子が、今は海ノ向こうコーヒーのメンバーとして立派に活躍してくれてたり。
ここまでなんだかんだ色々あったなーという感慨深さ。ようやく始まった、という安堵感。
あとは、「本当に植えてしまった!」という焦りとが入り混じります。

とはいえ実際の収穫までにはあと3年もあります。
本当の意味でコーヒー農園を一から始めるということの時間感覚を身を以て体験しています。

一方であと3年しかありません。
遠い未来のようで、きっとすぐやってくるんだろうな。しっかり準備をしておかないと。


(一緒に植えたコーヒーの苗。品種はブルボン。)

イラムとカブレ2地域の進捗。その違いからみえること。

今回訪問したのも前回と同じ地域、「イラム」と「カブレ」です。

イラムはネパールの東端。インドのダージリンと国境を挟んだネパール側。美しいお茶畑が広がる地域です。
僕らが到着すると、200人の農家さんたちが待ってくれていて、63,000本分、直径40cm深さ40cmの穴が2m間隔に掘られていて、肥料を撒いて1ヶ月なじませた状態でスタンバイしてくれていました。


(ちょうどお茶の収穫期。新芽だけを選んで、ものすごいスピードで収穫していきます。)

一方のカブレでは、掘られた穴は0。
施肥ももちろんされておらず、今回のトレーニングに参加してくれたのも10人ちょっと。
同じ時期に同じ内容のお話をさせてもらい、苗の無償提供という機会が同じでも、実際のアクションとして起こることは、コミュニティによって大きく異なります。

明確な一つの原因があるというよりは、いろんな要因が組み合わさった結果だと思います。例えば、

  • コーヒー(というか果樹?)栽培への理解度。
    => 成果が出るのは苗を植えてから3-4年後。しかも植えた苗の生存率は保証されない。この辺りの感覚は、普段お茶を育てているイラムの人たちにとっては想像するのは難しくなく、トウモロコシなど投資回収の早い作物をメインにしているカブレの人たちからすると、不安が先行するのも当然と言えば当然です。
  • 働き手の不在。
    => 穴掘りって大変。一人で一日掘っても20~30個とか?他の農業ももちろん忙しい中で、村のお爺さんお婆さんたちだけで何百個も掘りきれません。貧困世帯も多いカブレでは、若者はカトマンズや国外に働きに出ていて、新しい挑戦になかなか時間と労力を避けないという事情もあります。
  • コミュニティリーダーの不在
    => どちらも首都カトマンズからはアクセスの悪い地域です。いくら熱意と知識のある人間がいても、一人の力だけで農家さんを巻き込んで行くのは難しい。コミュニティ内に信頼のおけるリーダーがいて、普段から組織的に農業を行なっている地域の方がすすめやすいのも確かです。

など。


(トラックの上で苗を配るのは、4年前から、地域で最初に自分で苗を買って家の庭でコーヒーを育てていたプラカスさん。
下で、たぶん「順番に!予約してた本数分だけだぞ!」とか叫んでるのは、生産者組合のリーダーラムさん。
写真を撮る僕の後ろでは、「輸送中に苗の品質が落ちてるじゃないか!」とトラック運転手達にキレるアカースさん。彼は、今回の苗代を全てインベストしてくれた地元出身起業家のライさんの甥っ子。
この3人が、それぞれの使命感(きっともちろんメリット感も)を感じつつ上手に役割分担しながら、コミュニティをまとめようとしてくれています。)

やっぱり、その地域の農家さんの気持ちまでは、僕には全然想像できなくって。
僕に見えるのはおきている事実だけ。

カブレの農家さんがコーヒーに興味がない。
ということではなくって、「興味」と「行動」の間にある壁がイラムより高いということ。

ビジネスとして、効率性を考えればイラムに集中するのがいいのだろうと思いつつも。
僕にきっかけをくれた場所であり、一緒に頑張ってきた人たちの思い入れの強い場所でもあり。
なんとか一度、多少強引にでも植えてみて欲しい。
やってみた上で判断してみてもらえるようなきっかけを作りたい。

肥料をまくのが間に合わなかったことにより、生存率が下がってしまったとしても、次の1年をまつことで、いろんなエネルギーは下がっていってしまうことが怖いなと考えます。


(おじいちゃん。シェードの作り方が独創的。植え始めると楽しい。)

何が正しいかなんてわからないけれど、よそ者なりに考えて、提案し続けたいなと考えています。
最後にどう行動するのか、を決めるのは彼ら自身。その一助となればいいな。

ネパールの美味しいコーヒー、飲めるようになるといいなー。
って僕らはそりゃあ待ち遠しい気持ちになりますが、農家さんにとってはどうなのでしょう。

Q.なんで、他の作物もある中で、新しくコーヒーを植えようと思うのか?

と、そもそもな質問を改めてしてみた話しは、また今度。

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