インドネシア 品種調査の旅

2021.04.19

およそ7年前の1月ごろ、インドネシアに品種調査へ行きました。

当時、フィリピンのベンゲット州立大学でアグロフォレストリー学科に所属し、いわゆる森林農法(森を守りながら作物を育てる農法)でコーヒー栽培の研究をしており、

毎日のようにコーヒー研究所に植っているコーヒーの木の前に座って、コーヒーの木のスケッチを繰り返えす日々。

葉っぱの大きさ、枝の節間の長さ、コーヒーチェリーの大きさ等々、ノギス片手に縦横無尽に駆け回っていました。

およそほとんどのコーヒーの木の計測とスケッチを終えた頃、他国ではどのような品種が植っていて、どういった形になっているのだろうと興味が湧き

インドネシアはスマトラ島、リントンへ渡航することに決めました。
スマトラ島メダン行きの便が急にキャンセルになったこともあって、ものはついでだとバリ島へ足を伸ばし
品種調査を開始しました。

品種調査といっても、特別な器具や科学的な検査に基づくものではなく、
周辺農家を歩き回り、そこにいる農家さんに、「これはなんという品種?」と聞いて回り、そして、フィリピンでやっていたように葉っぱの大きさや実のつき方を一つずつ一つずつ、測っては、記録しを繰り返していました。一緒に同行してくれた方は、いったいこついは何をやっているんだと思っていたに違いありません。笑

調査例

約4日間、キンタマーニを歩き回り、そしてコーヒーの絵を描きまわり、初めて聞く品種の名前にワクワクしながらバリの調査(突発的な)を終了。
最後の日が丁度自身の誕生日だったので、バリのリゾートホテルを予約し、OLのように三十路を迎えた自分を祝ったのを覚えています。笑

そして、ようやくリントンへ到着。そこからの1ヶ月間はほぼ毎日、周りの農園を訪れ、小農家さんと話し、品種の名前を聞き、スケッチと計測を繰り返していました。

インドネシアリントンでは、基本的に小農家さんが自分たちの空いた土地(家から少し離れた場所)にコーヒーを植えることが多く、シェードツリーはあまり使わないことが多い。
標高1400mの台地で、ほぼ平坦な土地がずーっと続いていますが、フィリピンは山岳地帯なので、険しい傾斜100%以上あるようなところにコーヒーを植えています。
リントンの小農家さんは、ほとんどの場合化学肥料は使いませんが、コーヒーの樹間に葉物野菜や唐辛子を植えて、それに使用し、いわゆる混植栽培を行い、一つの土地から様々な作物を作り出していることが多いです。
また、大手トレーダーの工場もたくさんあり、そのメンバーになっていれば、無償で肥料をもらうことができるし、開発品種を支給されるため、ほとんどの農家さんは生産者組合を作り、そしてコーヒー栽培に従事していました。

リントンのトレーダーの工場風景

特に支給されていた品種は、「シガラルタン」。現地語で3回収穫できるという意味らしく、その名の通り、年に3回の収穫ができるほど成長スピードが早いです。

シガラルタンは、いわゆるハイブリッド。カティモールとアラビカが混ざった品種で、その成長スピードのせいか、寿命が短い品種。
それに似た品種でアテンというものがあり、アテンには葉っぱの形状が長細い、丸い、大きい、ものがあり、新芽がブロンズ、茶色、緑色のものがあり、多種多様。
リントンにおいては、このシガラルタンとアテンが当時多く栽培されており、シェードツリーがないせいもあり、農地のほとんどでは、葉っぱが落ち、元気のないコーヒーの木が多かった印象です。

いわゆる在来種というものも存在し、その名は「ラスーナ」といい、ティピカに属します。
ほか、ティピカとの自然交配で生まれたとされる「オナンガンジャン」「ジンベル」が小農家の農地に点在する。
姿形が、シガラルタンやアテンとは違い、大きく、高く育つためとてもわかりやすい。
収穫量はとても少ない。

ラスーナ

ジンベル

オナンガンジャン

アテン

小農家がほとんどのリントンでも、一部大手輸出会社が手がける大きな農園も存在します。
当時はボルコピと呼ばれる会社が開拓していたその広大な農地では、主にラスーナが育てられていました。

ワハナ農園の品種

またリントンから少し車で行ったところに他の輸出会社が手がける大農園。
ワハナ農園(今私たちが扱っているコーヒー)ではラスーナとよく似た品種「ロングベリー」が植えられており「アビシニア」と呼ばれる品種です。
この農園では、通常大農園では難しいとされる有機栽培で栽培しており、各区画ごとにさまざまな品種を植えています。
インドネシアでロングベリーというと、「ラスーナ」「ティムティム」「アビシニア」です。

ワハナ農園では、近隣農家さんとの連携も常に行なっており、農園内で育てられた品質の高い苗木を提供し、栽培支援も行っています。
また、農園で暮らすスタッフの方々に無料診療所を用意し、保育園を完備、気持ちよく働いてもらうためのリクリエーション等も行っています。
野菜、ポテト等の無農薬栽培も行っており、有機野菜として国内で販売しています。

高い品質を生み出すための農園の活動として上記のほか、以下のようなことをおなっています。

  • コーヒー苗木管理
    ワハナ農園では約30haに及ぶ苗場を建設しており、アチェより持ち込んだロングベリー 、トラジャ、アンドンサリ、ラスーナ、S795をそれぞれインドネシアの生産地域から採取し生育
    またビジャサルチ 、カツーラ、コロンビアティピカを実験的に栽培
  • ウォッシングステーションの建設
    ウォッシングステーションを農園内に建設することにより、迅速で正確な精選が可能
    農園周辺の農家かからも集荷しており、熟度に応じて品質を分けることができる
    チェリーの糖度はbrix 15 to 20%
  • 環境保全の試み
    – シェードの林冠を出来るだけ伸ばす
    – 土壌生産性を高める(有機堆肥の生産)
    – 野生動物の保護
    – 保全地域を確保
    – 生物多様性を利用した病虫害対策
    – モニタリングを常に行い農園を管理

ワハナ農園のことをもっと知りたい方は下記からご確認いただけます。

インドネシア ワハナ農園を詳しく見る

インドネシアリントンで品種調査を1ヶ月行なって分かったことは小農家さんは品種に対してはそこまでこだわりはないということ(というか品種って何?という農家さんがほとんど)、そして、彼らにとって一番重要なことは、いかにして自分の土地で収入を上げられるかということ。
通常収穫までに3年かかるアラビカ種ですが、シガラルタンであれば2年、気候が良ければ1年で収穫ができる。そして通常2回収穫があるリントンで、3回収穫ができるとなれば、ほとんどの農家さんはそれを植えることになります。

シガラルタンは、シェードツリーがあれば、そのとてつもない成長スピードはある程度抑えられるので、コーヒーがすぐに枯れることもなく継続的に収穫ができるようになります。施肥も有機肥料で十分。

そういった栽培技術に関する情報にアクセスすることができないのもこの時の調査で感じたことです。

「プラットフォーム」という言葉がコーヒー市場にも使われ始めている近年。日本国内におけるコーヒー情報は飛躍的に多くなりました。しかし、コーヒー生産地ではまだまだアクセスすることができない人が多いです。
だからこそ、ミャンマーのジーニアスコーヒーや、ラオスのサフロンコーヒー、東ティモールのCBSといった会社がとても重要な役割を果たします。彼らに正確な情報と技術を提供し、ともどもに成長してけるようなそんな関係性でありたいと思います。

担当 山本
株式会社坂ノ途中
海ノ向こうコーヒー事業部
EMAIL: umi@on-the-slope.com
TEL: 050-7111-2209(平日10:00~17:00)
携帯: 080-9165-2213
<京都本社>
〒600-8888 京都府京都市下京区西七条八幡町21

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