コーヒー発酵の面白さ

コーヒーの精選に関することを色々と調べています。
特に最近では、嫌気性発酵とか、ダブルファーメンテーションとか、ワイニーナチュラルとか、カーボネーティッド・マセレーションとか
なんか色々ある。
ハニー製法のブラックとか、レッドとか、イエローとかまでは追えていたけれども、
なんかもぅよくわかんぞッ!というぐらい、新しい精選方法の話題が出てきます。
海ノ向こうコーヒーの一員になって、バタバタとしていて、最近までインプットをすることが出ていなかったので、
久しぶりに発酵のところを少し調べたので、まとめてみます。

そもそも上に書いた精選方法は、結局のところ「発酵」をどのように行なっているかということのようです。
今までは、コーヒーの本を開くと、コーヒーは収穫から輸出されるまでに様々な工程を経て処理され、
その工程は、収穫→果肉除去→発酵→水洗い→乾燥→脱穀と、書かれていました。
「ヘェ~コーヒーって発酵させてるんだなぁ~」と昔素人ながら思ってました。
で、実際になんで発酵させるんだろうと、さらに色々な本を読んでいると
「果肉除去した後、コーヒーのタネ(豆)の周りにミューシレージと呼ばれる、粘性の物質がついており、それを取り除くために微生物の力を借りて発酵を行なっている」
というように書かれていました。水洗いじゃ落ちないんもの。とも書かれていました。
なるほど、だから発酵をこなっているんだと。
これは昔のお話。
実は、最近では、この「発酵」に焦点を当てて、「香味作り」をするための発酵を色々な産地がトライしているのです。

本文は、その発酵を生化学的にはどういったことになっているかをちょっとだけご紹介します。
さて、どうやって説明しましょうかね。別に僕は理系出身でも無いので、正しい言葉で説明できるかわかりませんが、
一旦文章にしてみましょう。(専門の方、間違ってたらすいません)
「コーヒーの発酵で主役となるのは、イースト菌とバクテリア。その微生物たちがまず最初に、分解するのは、コーヒーに含まれているスクロース(糖)とペクチン(ミューシレージのことです)。これを分解すると、グルコースとフルクトースとなり、このグルコースをイースト菌は細胞内に取り込み、エネルギーとしています。その時に起こる代謝を『解糖系』といい10個の酵素分解反応が起こります。その分解後に出てくる代謝副産物がピルベート/ピルビン(酸)(pyruvate)。(ついてこれてますか?)このピルビンが今度は、ピルビン酸デカルボキシラーゼという、ピルビン酸から二酸化炭素を遊離させアセトアルゼヒドを得るための酵素、除去付加酵素となり、また、アルコールデヒドロゲナーゼと反応して、エタノールを生成します。このアセトアルデヒドとエタノールがさらに反応し、acidic acid(例えばクエン酸とか乳酸とか酢酸とか)を生成します(この量が少ないとフルーティな香り、逆に多すぎると腐敗したような香りになるようです。酢酸ですからね)。また別の反応で、このピルビンがミトコンドリア内に取り込まれ、エネルギーを生成する過程で、コエンザイムAと反応で補酵素酸を生成、それがクエン酸回路によってエネルギーをつくるとともに、この補酵素酸Aはアルコールを作り出し、その作り出したアルコールと反応し、エステルを作ります。このエステル化合物には、様々な香りがする物があり、パイナップル、りんご、ぶどう、バナナといった香りがします。最初のペクチンとスクロース以外に、果肉除去したコーヒーのタネ(豆)に含まれるアミノ酸がアルコールと反応しエステル化合物をさらに作り出します。」

ふぅ

・・・
・・・
・・・

わかりました?

わかるかぁー!!

というツッコミが入りそうですが、
つまりは、
「微生物が自分が生きていくために必要なエネルギーをコーヒーに含まれている成分を自分の酵素で分解し、取り込む際に生成されるエステル化合物がコーヒーのフルーティな香りになっている」ということです。

もっとわかりやすくいうと

「発酵→香りの元を作る」

です。

ミューシレージを取り除くために行なっているのではなく、発酵それ自体が、香味の形成する重要な役割だったんですね。
実際に、産地で収穫したてのコーヒーの実を発酵せずに、自分の手で向いて、すぐ焙煎すると。味気ない黒い飲み物が出来上がります。
東ティモールの山奥で一人でやってみましたが、あれはびっくりするぐらい何も味がしなかったです。
皆さんも産地に行ったら一度やってみてください。笑

少し付け加えますと
微生物が発酵中に生成するのは上記の物質だけではありません。上記は揮発性化合物、それ以外に不揮発性化合物も作り出します。
例えば、多糖類、脂質、タンパク質等々、その中の多糖類。これが多ければ多いほど、ボディ感つまりコクのあるコーヒーになります。
だからナチュラルのコーヒーってボディが強いんですね。

と、まぁ、今回はここまでにしておきましょう。

ちょっとややこしかったかもしれませんし、説明不足の部分もありますけど
最近、いろんな精選方法が出ている意味がなんとなくわかっていただけたら、
そして、それを楽しんでいただけたら幸甚です。