farmers’ prideプロジェクトinミャンマー、はじめます。

農家の誇り。
大げさだよと、当の農家さんたちをこまらせてしまいそうなプロジェクト名ですが、
そう名づけてみました。

< 12の農家さんがサンプルを用意してくれました。 >

先月ミャンマーで、5つの村を回って「今年は、農家さんの顔がみえるコーヒーを届けてみたいのです。」とお願いしてまわった話の続きです。
▷ コーヒーの「マイクロロット」とは。
▷ マイクロロットは誰のため。

最終的に、12の農家さんがサンプルを用意してくれました。
声かけした全員分のサンプルが届いたらどうしよう。。
カッピングだけでお腹がタプタプになって動けなくなるのでは…という心配は徒労に終わりましたが、
小さくゆっくり、はじめていけそうです。

(ミャーガレー村から10農家さん。あと2人飛び入り参加で。)

< 選んだのは3農家。 >

今回のプロジェクトを一緒にはじめてくれる、「珈琲焙煎所 旅の音」の北辺さんと、
現地パートナーのジーニアスコーヒーのチャインコーと一緒にカッピングをした結果。
今年の輸入に向けて選ばせてもらったのは3人の農家さん。

今年はじめて用意してくれるのが、2人の農家さん。
ミャーガレー村の、マチュトゥさんと、ウーチョウティンさん。

そして、ドーブーシュエさん。
彼女は自分で精製をはじめて数年目。地域でも有名なコーヒーおばちゃんです。
やはりさすが美味しいし、品質も安定しています。

(ドープーシュエさん。今年は35袋、お願いしてみました。)

■ 2/23 京都で産地報告会とティスティングイベント、開催します。
タビノネさんのおしゃれなカフェで、今回の旅の報告と、僕らが選んだ農家さんたちの豆を焙煎して、現地で僕らが行ったのと同じカッピング形式で、みなさんにも飲み比べていただけるようなイベントを開催できることになりました。
https://www.facebook.com/events/598654570583079/

▷ 産地の様子を写した動画もつくってみたので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/5ooPbKO1rpc
農家さんごとの味の違い、精製方法による味の違いなどを、それぞれのストーリーと映像を思い浮かべなあがら味わえる機会。
よければおこしください。

< ブレを楽しむ、ということ。 >

農家さん自身に精製してもらう挑戦を通じて感じていることを少し。
ジーニアスの精製場で訓練されたスタッフたちが丁寧に管理して、輸出用に規格わけされたロットの均質的で洗練されたフレーバーとは違い、個人個人の農家さんに精製してもらった豆たちは、もっとなんというか、個性が溢れ出ていて荒々しさのようなものも感じます。

あまりに個性的なので、焙煎の条件が少し異なれば、全く違った表情をみせてくれる。
これは一般的な品質評価基準でいうと、ネガティブに捉えることもあると思います。
ただ、バイヤーとしては不安もある僕のすぐ横で、タビノネの北辺さんと、ジーニアスのチャインコーは、「面白い!」と、子どものような顔で、自分ならこの個性をどう料理してやろうかと語りはじめます。

(左:海ノ向こうコーヒー安田、真ん中:珈琲焙煎所 旅の音 北辺さん、右ジーニアスコーヒー チャインコー)

例えば、マチュトゥさんの豆は、水抜きから1ハゼまでの火力をもっと一気にあげてやることでこのベリーのような風味を引き立たせてやるのがいいハズだとか、ウーチョウティンの方は、1ハゼからのデペロップをもう少し長めにとることで甘みが増して、このちょっとスパイスのような風味が丸くなって全体といい感じに調和するハズだとか、いやいやオレならもっとこーするよとか、あーでもないこーでもないと。

(あーでもないこーでもない)

あー。なるほどたぶん、こういう人たち向けの豆なんだな。とそのやりとりをぼんやり眺めていました。笑

もちろんどの農家さんがどんな環境で作ったコーヒーなのかによってフレーバーは異なります。
さらに誰がどんなプロファイルで焼くかによっても違う。
もしかすると、同じ人が焼いても、先週飲んだときとは異なる表情をみせるのかもしれません。
コーヒーも野菜と同じく農産物。そういう自然で個性的な”ブレ”を、この二人のように楽しんでもらえたらいいな、と思いました。

(毎日毎日テスト焙煎。)

< もっとパブリックな動きにしていきたい。 >

来年に向けて計画していることは2つです。

■ 1.今年選んだ3人の農家さんに対する継続的なサポート。
ドープーシュエさんはすでに知識も経験も豊富なので、特にマチュトゥさんとウーチョウティンさん。
来年はもっとたくさん、美味しいコーヒーを作ってもらえるようなサポートをしていきたいと思っています。

(真ん中がウーチョウティンさん、左は奥さん)

■ 2.もっとたくさんの方と一緒に渡航して、新しい農家さんの開拓を。
今回は、旅の音さんと海ノ向こう、言ってしまえば2者の”好み”で選んで、少量だけ購入させてもらうことになりました。
来年は、もっとたくさんの方達に来ていただいて(もしくは持って帰ってきて飲んでいただいて)、もっとたくさんの農家さんを巻き込んでいけるようなことができたらいいなと思っています。

いつかもし今回のトライアルが、小さな地域でのオークションみたいになっていけば、農家さんたちの品質向上へのモチベーションにもなるはず。夢はひろがっていきますが、一歩ずつ。

(評価基準をどうすりあわせていくかも大切。)

——

今回、サンプルを用意したけどださなかった農家さんがいます。
「自分のせいでこの地域のコーヒーの評判が落ちるのがこわい。」とおっしゃっていたそうです。

とても尊敬すべき決断だと思いました。

「私はユアンガンでコーヒーを作ってるのだ。」と誇れるような産業にしていくことで、
ちゃんと農業で収入がえられて、若者たちが地域にとどまってくれる。
そんな目標をもってコーヒーをつくっているということが地域内で共有されている結果なのだと思います。

繰り返しになりますが、この地域のみんなが自分で加工するようになったらいい。
と思ってこの挑戦をはじめたわけではありません。
彼らは、兼業農家です。コーヒーにばかり時間をさく必要はありません。
チェリーの熟度統一だって、一番いい時期だけ集中して行うだけでもいいと思います。収穫期の最初と最後はどうしても効率がよくないので、ちょっとサボって、なんでも安く買って別の地域と混ぜて売ってくれるようなバイヤーに渡すのが、確かに理にかなっていると思います。

ただ、やる気がありあまっている農家さん、土壌・気候条件がとてもいい農園。
潜在的な可能性があるのなら、機会を用意したいな、という思いではじめています。
別にこの地域で一番おいしいコーヒーをつくっている農家さんじゃなくたって、みんなもっと誇っていい。

書きだすといつも長くなってしまいます。。
farmers’ pride プロジェクト、一緒にいかがでしょうか。