【産地レポート】ラオスに行ってきました

こんにちは!サバイディ!
海ノ向こうコーヒーの舛田です。

12月〜2月、アジアの多くのコーヒー産地が収穫期を迎えます。
コーヒーの生産で有名なブラジル、コロンビア、エチオピアなど、中南米やアフリカの産地とは違う時期にコーヒーの収穫が始まります。
海ノ向こうコーヒーで販売している豆の産地でいうと、ラオス、ミャンマー、タイ、雲南がちょうど収穫のピークです。

収穫のシーズンは、産地担当が現地に出かける時期でもあります。
12月から2月にかけて、さまざまなコーヒーの産地に行ってきましたので、その様子をお伝えしたいと思います。

今回は、ラオスのお話です。

4年目のロンラン村

2016年9月に安田がラオスに訪れ、ロンラン村のコーヒー農家さんたちと出会ってから、4年目の収穫期を迎えました。
「ラオスの森コーヒー」のコーヒーが作られているのが、ロンラン村です。
「海ノ向こうコーヒー」の前身である、「Mekong Organic Project」が始まった地。
海ノ向こうコーヒーにとって、とても思い入れのあるラオスに、私は今回初めて訪れました。

過去のラオスのお話はこちらから>>ラオスのはなし

ラオス北部の古都、ルアンパバーン。そこから車で2時間のところに、ロンラン村はあります。
ロンラン村のコーヒーを集荷、精製して、私たちに輸出してくれているサフロンコーヒーのスタッフとともに、村に行って来ました。

(▲ロンラン村の子どもたち)

ロンラン村は、とてもほのぼのとしていて穏やかな村。
時間がゆっくり進んでいるかのように感じました。
森に囲まれ、村のいたるところに、コーヒーの木々が植わっていました。
村での暮らしの中に、コーヒー栽培が溶け込んでいるような村でした。

(▲ロンラン村のコーヒー)

ロンラン村から少し離れた森の中に、新しく苗を植えているとのことだったので、そちらも見に行きました。
若い木は、水分不足に弱く枯れやすいため、少しでも水をあげようと1本1本に水やりをしました。

(▲水やりに行きました)

ロンラン村では、空いている土地や森の木々の間に、コーヒーを植えていることが多いです。
バラバラに植わっていると、木の手入れや収穫作業が少し大変になります。
「ひらけた場所では、等間隔にまっすぐ植えた方が良い」と、サフロンコーヒーのスタッフが農家さんにアドバイスしていたようで、そのアドバイス通りとてもきれいに植えられているところがありました。

(▲写真ではわかりづらいですが、等間隔にまっすぐ植えられていたんです!

この畑を見た瞬間、みんなとても感動!
サフロンコーヒーのスタッフも、テンションが上がっていました。

サフロンコーヒーは、農家さんに栽培や収穫の指導も行なっています。
私たちがロンラン村に訪れたときも、ちょうど収穫している農家さんがいたので、様子を見にいきました。
「このチェリーは、ちょっと収穫するには早いので、この色になってから収穫してくださいね。」とすかさずアドバイス。
こういった小さな積み重ねがあってこそ、おいしいコーヒーができるのだと思いました。

(▲農家さんに収穫のアドバイスをしている様子)

サフロンコーヒーの精製場

ロンラン村で収穫されたコーヒーチェリーは、サフロンコーヒーの精製場に運ばれます。
ここでは、サフロンコーヒーのスタッフたちが丁寧に精製をおこなっています。

(▲精製場、倉庫、事務所があります。)

精製の工程を1つずつ見ていきたいと思います。


こちらは、発酵槽です。
ロンラン村のコーヒーは、ウォッシュドプロセスという方法で精製されます。
ウォッシュドプロセスでは、
コーヒーチェリーの果肉部分を除去したあと、種子のまわりについたミュシレージという部分を発酵させ、洗い流すという作業を行います。
▶︎発酵については、こちらの記事を読んでみてください!

発酵させた後に、ミュシレージを洗い流しているところです。
ぬるぬるとしたミュシレージが完全にとれるまで、少しずつ手作業で、丁寧に洗います。
作業を一緒にやらせてもらいましたが、とても時間のかかる作業でした。

洗い終わったら、乾燥させます。
乾燥棚で乾燥させることで、通気性を保ちつつ、急速に乾燥が進むのを抑えることができます。
地面で乾燥させると、乾燥棚で乾燥させるより早く終わってしまいます。
反対に、乾燥に時間がかかりすぎると、豆がカビてしまうこともあります。
天候にも左右されるため、乾燥は、一番気をつかわないといけない工程だと、個人的には思いました。

実は、前年度の収穫分について、少し乾燥が早かったように感じていたため、サフロンコーヒーに伝えていました。
それも踏まえて、今年は乾燥棚を増やしてすべてのコーヒーを必ず乾燥棚で乾燥させること、日差しが強すぎるときはシートを被せること、などを約束しました。
こうやってやりとりをしながら、よりおいしいコーヒーを作るために、一緒に頑張ってくれることに本当に感謝しています。

(▲上の部分と足の部分が取り外し可能で、精製が終わったら片付けられるようになっているそうです。)

乾燥棚自体も、年々改善しているそうです。
もともとは木でつくっていましたが、運びやすさや作業のしやすさを考えて、今はこの乾燥棚を使っているようです。
ただ、豆を載せる部分が少し浅く作ってしまったので、
「攪拌(乾燥ムラを防ぐため、豆を混ぜる)の作業の際、豆が棚から溢れてしまう」と担当のスタッフから文句を言われたとのこと。笑
また作り直さないとなあとつぶやいていました。

乾燥が終わったら、出荷前に脱穀を行い、「生豆(グリーンビーンズ)」と呼ばれる状態にします。
私たちは、この生豆を輸入しています。
脱穀したあと、出荷する前に選別の作業を行います。
虫食い豆や欠けてしまった豆など「欠点豆」と呼ばれる豆をはじいていきます。
これも手作業。
このような細かな作業があって、やっと私たちがコーヒーを輸入することができるんだなと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

サフロンコーヒーは、国内にカフェを持っているので、焙煎をするスタッフもいます。
大きな焙煎機で、大量に焙煎!
普段、3kgの焙煎機で焙煎してる私にとって、
この大きな焙煎機をさらっと使いこなす現地のスタッフさんたちがとてもかっこよく見えました。

サフロンコーヒーのカフェとコーヒースタンドは、ルアンパバーンにあります。
ルアンパバーンに行かれる機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

今シーズン大変だったこと

今回で、ロンラン村のコーヒーを輸入するのは、3回目になります。
産地担当の安田が2016年から通っている村ですが、年によって状況は異なります。
コーヒーは、農作物。
野菜と同じように、天候、気候に大きく左右されてしまう作物です。

2018年の雨季の大雨で、土砂崩れが起きて一部のコーヒーの木が流されてしまいました。
その影響はいまだに残っています。

(▲土砂が流れた跡と、なぎ倒されたまま斜めに植わっているコーヒーの木)

村の人たちは、サフロンコーヒーと協力しながらコーヒー畑の再生を頑張っているところです。

2019年は、雨が多かった2018年とは反対に、干ばつに苦しみました。
コーヒーだけでなく、米や麦の収穫量も、がくっと下がったそうです。
雨季になっても雨がなかなか降らず、コーヒーの花が咲くのが遅れ、実がなるのも、収穫が始まるのも遅れてしまいました。

また、コーヒーベリーボラーという、害虫に苦しんでいます。
無農薬栽培では、どうしても害虫の被害を受けてしまいます。
農薬を使わずにどうやって対策できるか、いまだに模索中です…。

そんな中、2月末に出荷前のサンプルをもらいました。
見ただけでも、とても丁寧に精製されているのがわかって、
頑張ってつくってくれたんだなあというのが伝わってきて、とても嬉しかったです。

ラオスの森コーヒーが届くまで

今は、最後の選別作業と、輸出に向けた準備を着々と進めてくれています。
うまくいけば、5月〜6月頃には日本に届きそうです。

ロンラン村の農家さん、サフロンコーヒー、そして、わたしたち海ノ向こうコーヒー。
渡されたバトンを次は、私たちがみなさんにお渡しする番です。
責任を持って大切に焙煎して、みなさんにお届けしたいと思っています。

そして、産地からのバトンをしっかりと受け取って、おいしく飲んでくださるととても嬉しいです。

収穫量が少ないので、限定的な販売になるかもしれないですが、
ラオスの森コーヒーの販売再開をぜひ楽しみにしていてください!