雲南のコーヒー畑に鶏が飛ぶ。(その1)

2019.06.21
  • 産地の話

ニイハオ。
産地担当の安田です。

先週は、中国雲南省に行ってきました。

2回目の中国。
上海、昆明と乗り継いで、プーアル茶でおなじみの普洱まで。
そこから車で南西にさらに5時間走って、ミャンマー国境近くまで走ると、南嶺と呼ばれる山があります。
ここまでくると、上海なんかの大都会とはまた別世界。
いろんな少数民族の文化がいりまじる、カオスなんだけど、なぜかふと心落ち着かせてくれるような景色の中へ。

メコン川の源流となる水が湧き出すこの南嶺の山頂付近、とてもおいしいコーヒーをつくる農家さんたちに出会いました。

彼らをつなぐのは、「斑马庄园(Zebra coffee)」という会社。もともとは不動産や、エコツーリズムとかをしてた会社が、コーヒー好きすぎてはじめたコーヒー屋。僕たちの現地パートナーです。

中国で、サステナブルなコーヒーづくりに取り組むことのインパクト。

僕らが出会う少し前。
Zebra coffeeとプーアル市との共同で、コーヒーを通じて、雲南で環境に配慮した開発を進めよう。という計画がスタートしました。

いわゆる有機栽培で、森を守りながらのコーヒーづくり。
都市部のお客さんにも、コーヒーづくりの現場を体験してもらえるようなインフラ整備。
などの計画は進んできていたものの、

他にどんな取組ができるだろう。アイデアが欲しい。

ということで、雲南省を調査のフィールドにされている、僕の母校の大学の先生がアドバイスをすることに。
先生が、アジアでいろんなコーヒー産地に入っているということで海ノ向こうコーヒーとZebra coffeeをつないでくださいました。

現地の大学の生徒さんたちもいろいろ助けてくださり、日中の産官学連携でこのプロジェクトをすすめていこう!
ということになってきています。

具体的には、
・廃棄してきたカスカラを炭化させ、土壌改良剤を作ろう。
・コーヒーの加工段階ででる廃水を、微生物の力で浄化するシステムの構築。
・カスカラを使った、現地での商品開発
などなど。


(廃棄され積み上げられるコーヒーの果皮)

僕らの他の産地での活動と違うのはまずその規模。
プーアル市協力の元ですすめられているので、巻き込める農家さんの人数や土地面積が違います。

また、研究機関が参加することにより、ひとりよがりの解決策ではなく、その成果をモニタリングしながらすすめていくことができます。

例えば、川に流すと水質汚染につながる、コーヒー加工処理後の廃水。
これを、農作物に与えると、栄養たっぷりなのでグングン育ってくれたりします。
でも与えすぎると、栄養が偏ってしまったりして、長期的に見るとよくない結果になってしまうこともありえます。
その辺りも、ちゃんと調査した上で一つ一つの取り組みを考えられる。

一企業だけだとやりきるのは難しいけれど、連携すれば取り組める、とてもとても大事な観点です。

飛ぶニワトリが、とにかくうまい。

突然ですが、
南嶺のコーヒー農園で歩き回るニワトリたちは、

飛びます。

僕はみていませんが、夜には天敵から身を守るため木の上で眠るのだそうです。
ちなみに家禽化される前のニワトリのルーツは、この辺りの地域だという説もあったりします。

これだけ急速に経済発展が進む中国で、まだニワトリが飛ぶのか。

そう思うと、この秘境を、何とかして未来に残したいような気になってきます。


(桃源郷、とまではいきませんが。コーヒーのシェードには、すもも・桜・お茶など多様な木々が植わっていて美しい。)

脇道には湧き水が流れ、山ガニがちょこちょこ歩いています。
多様な生き物たちが暮らすこの山の生態系を、失いたくないものです。

と、それっぽいことを言ってみましたがそんなことよりこの「飛鶏(フェイジー)」、

めっちゃうまい。

「ニワトリ」の概念を変えてくれる美味しさ。
コーヒーではなく鶏屋さんを始めたいくらいの美味しさです。


(ワ族料理のお店。鶏粥、絶品でした。ご馳走さまです)

この鶏が食べられる未来を守るため、できることはなんでもするぞ、と思っています。

ちなみにこの地域の「ゲストが腹一杯食って半分残る」くらいの料理を出す文化。
フードロスの観点から、ちょっとお手柔らかにお願いしたい。。。あと、太る。

地元の文化を尊重したい気持ちもありますが。
むずかしいところです。

雲南になぜ、「精品(スペシャルティ)」が必要なのか。

雲南のコーヒーのほとんどは、グローバルでコモディティな市場向けに作られています。
そうした農園でも、無農薬にこだわる栽培や、フェアな価格も意識されてはいますが、どうしても近年の市場価格の下落により、コーヒー農家さんの生活は苦しくなる一方です。

そこで、国際市場になるべく左右されない、スペシャルティな生豆づくりに挑戦する農園が、いくつかでてきています。

Zebra coffeeでは、南嶺の1,800-2,050m 付近に一級畑をつくり、ティピカやカトゥアイを中心にしつつ、SL28・34、ゲイシャ、パカマラなど、様々な品種の適合性をみるための実験もスタートしています。


(まだまだ若い木ばかり。これからが楽しみです。)

世界の知見と、地元の文化を組み合わせる。

主にコーヒーの精製工程での品質管理を担当しているのは、台湾から技術者としてやってきたソウさん。
昆明出身の奥さんとご結婚されて、台湾で学んだコーヒーづくりの技術を生かして、実験を重ねています。
今年は70種類を超える実験を繰り返し、この土地にあった精製方法を模索中です。

彼の尊敬すべき点は、自分のこだわりに固執せず、「失敗」や「外からの知恵」から学ぼうとする姿勢です。

例えばコーヒーは、一般的に果実を収穫したらすぐに果肉を除去する必要があります。
ある時、農家さんがちょっとサボってしまい、収穫した後山の上に一晩放置したものを持ってきてしまったそうです。
そうとは知らずにいつものように作って飲んでみるととても個性の際立ったコーヒーになっていたそうな。

そこから、
収穫後にあえて果肉を除去せずに一定時間熟成させる。
かつ発酵しずぎないように低温・密封状態をつくる、という方法を思いついたそうです。

その後の乾燥プロセスも、プーアル茶の製法からヒントを得ているそうです。
乾燥の初期・中期・後期と、乾燥の段階によって積み上げ方や湿度管理の方法を変えることで、そこで起こしたい、(または起こしたくない)発酵の進行をある程度コントロールできるようになったのだそうです。

来年のテーマは再現性。

今年は、実験の年でした。
とにかくいろんな方法を試しまくった。

そこで、この土地にあった品種や、精製方法を。またそれぞれの精製にかかるコストやそのリスクも把握することができました。

ソウさんや、社長かつ焙煎士のソンさんは、とにかくコーヒー好きで実験が大好き。
一つ一つのロットに名前をつけては、改善点を話し合うような人たち。
(思い出せるものとしては、レモングラス、シナモン、などフレーバーで例えるもの。モーツァルト、フロド=バギンス、などなぜか人?の名前がついてるものも。)

なので、それぞれのロットがとても小さくなってしまうんですよね。。。
しかも、本人たち自身、何をどれくらいの量作ったのか、データとして記録ができていない。
なので毎回現地に言って、現物確認しながら話さないと、なかなか前に進まなかったりします。

来年は、今年試した中から、しっかりそれぞれの市場にあった規格を作って、安定的につくる。
ちゃんと記録をとって、トレーサビリティを高めていく。
ということを目標として共有しました。

今年は、少ないですが2.5トンくらい、いくつかの豆を来月中には日本に輸入したいと準備をすすめています。
お楽しみに。

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