遠くに想いを馳せる、
想像力を。
コーヒーのおいしさはもちろん、海の向こうの産地が抱える課題にも向き合いたい。
私たち「海ノ向こうコーヒー」がなぜそのような思いをもつようになったのか、
どうやって生まれ、これから何を目指しているのかについてお話します。
産地とともにコーヒーづくりを
それぞれの産地には人々の暮らしや文化があり、そこでは様々なストーリーが紡がれています。同時に、産地には森林減少などの環境問題、若者の都市部への流出、貨幣経済の流入による価格競争などの課題も存在します。
だからこそ私たちは生産者とバイヤーの関係ではなく、Co-Producer(共同生産者)として現地の農家さんと一緒にコーヒーの品質向上に取り組み、森林伐採の減少や山間地での雇用創出など産地の課題解決につなげたい。そんな思いで産地を定期的に訪れ、地域のニーズにあわせた栽培方法や精製プロセスの見直し、資金面や販路構築のサポートを行っています。
海ノ向こうコーヒーのはじまり
私たちの活動は、東南アジアのラオスにある古都、ルアンパバーンではじまりました。
実は、もともとコーヒーをつくろうとしていたわけではなく、「ラオスの森林減少の改善のために何かできないか」と相談を受け、現地を訪れたことがはじまりでした。知ったのは、人口の増加や貨幣経済の流入により、伝統的な焼畑農業のサイクルの加速や、その代替農法としての大規模プランテーションが、森林減少につながっているということ。
森に目を向けると、大きな木々の間に小さなコーヒーの木が植わっていました。昔ヨーロッパの方が苗を配って育て方を伝えてくれたものの販路が十分でなく、多くの木はほったらかしになっていました。森を守りながらコーヒーを育てる「アグロフォレストリー」という手法を用いてきちんと栽培・収穫し、品質向上に努めれば、森林を伐採することなく安定した雇用と収入を生み出せるのではないか……。これが、私たちのはじまりでした。
舞台はさらに海を越えて、
世界各国へ
2016年にラオスで始まった活動は、2018年に海ノ向こうコーヒーに発展。現在は株式会社坂ノ途中のコーヒー部門として、焼豆の販売やロースターさま向けの生豆販売も行い、徐々に全国のお店で取り扱っていただけるようになりました。さらに、「Seed to Cup(種からカップまで)」を実現すべく、自社で豆を焙煎し、直営店舗で提供しています。
豆の取り扱い地域もアジアから中南米、アフリカへと広がり、100種類以上のラインアップを取りそろえています。
失われつつある森を守るため、希少な動物を保護するため、小規模農家さんの持続可能な生産を目指すため。いずれも、産地の暮らしや環境にも配慮して作られた「トータル・クオリティ」のコーヒーをお届けしています。
海ノ向こうコーヒーの運営母体である坂ノ途中は、環境負荷の小さな農業、農薬や化学肥料に頼らない農業の広がりを目指してさまざまな事業を行っています。持続可能な農業、ひいては持続可能な社会に辿り着きたい。その一心で、日々奮闘しています。
海ノ向こうコーヒーもその過程の一つ。日本からアジア、世界各国に広がってきたとはいえ、今後も歩みを止めることなくさらに加速させていきたい。そしてまだ見ぬ産地に光を当て、コーヒーカップの向こう側に想いを馳せてもらえるように挑戦を続けていきます。